酒井忠寧

酒井忠寧（さかいただよし）は、江戸時代後期の伊勢崎藩主であり、学問の振興に尽力した大名です。雅楽頭系酒井家支流の5代目として、上野伊勢崎藩を治めました。

文化2年（1805年）に、先代藩主である父・酒井忠哲の隠居に伴い家督を継ぎ、藩主となりました。同時に叙任も受けています。祖父である忠温の遺志を受け継ぎ、忠寧は藩内における学問の奨励に力を注ぎました。

特に、伊与久村（現在の伊勢崎市境伊与久）に宮崎有成らが設立した郷学・五惇堂を公認し、その運営を支援しました。五惇堂は、地域の子弟教育において重要な役割を果たしました。また、それ以外にも、遜親堂、会輔堂、正誼堂、遜悌堂、正心堂など、数多くの学問所（郷学）を新たに創設しました。これらの学問所は、藩士や領民の子弟に対し、幅広い知識や教養を身につける機会を提供し、藩全体の学力向上に大きく貢献しました。

忠寧の時代は、藩の文化水準が向上し、多くの人材が育成された時代として知られています。しかし、文化14年（1817年）8月16日、忠寧は29歳という若さでこの世を去りました。短い生涯でしたが、その功績は大きく、後世にまで語り継がれています。

跡は長男の忠良が継ぎ、父の遺志を受け継いで藩政を担いました。

系譜

父：酒井忠哲
母：品 ー 木下利忠の娘
正室：多加 ー 牧野宣成の四女

子女

酒井忠良（長男）：母は多加（正室）
酒井忠恒（次男）：母は多加（正室）
鍈子：小笠原貞哲正室
於さだ：大久保忠豊正室
於澄：榊原昭砥室

酒井忠寧は、若くして亡くなったものの、学問を奨励し、多くの学問所を創設することで、藩の文化と教育の発展に大きく貢献した藩主として、歴史に名を残しています。

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