酒井忠経

酒井忠経：幕末の動乱を駆け抜けた藩主

酒井忠経（さかい ただつね）は、嘉永元年（1848年）に生まれ、明治17年（1884年）に37歳という若さでこの世を去った人物です。彼は、幕末から明治初期にかけての大変革期に、越前敦賀藩の第8代（最後）の藩主、初代（最後）知藩事、さらには若狭国小浜藩の第2代知藩事という要職を歴任しました。

生涯

忠経は、忠稠系小浜藩酒井家の別家8代目として生まれました。父は第7代藩主・酒井忠毗（さかい ただたけ）、母は酒井洛子（さかい らくこ）です。正室は板倉勝顕（いたくら かつあき）の娘である板倉禎（いたくら さち）、継室は斉藤桜門（さいとう おうもん）の娘である斉藤倭文（さいとう しず）を迎えました。子には長男の酒井忠亮（さかい ただあき）と、上杉熊松（うえすぎ くままつ）に嫁いだ娘がいます。

慶応3年（1867年）、父・忠毗が佐幕派としての立場に苦悩し隠居したため、忠経が家督を継ぐこととなりました。翌年の戊辰戦争では、本家の小浜藩が幕府側についたのに対し、忠経は父とは真逆の新政府側につくという決断を下します。

明治元年（1868年）には、朝廷への伺候のため京都を訪れた際、藩士5名が家老の野口文太夫（のぐち ぶんだゆう）らを殺害するという事件（鞠山騒動）が発生しました。この事件は、野口が忠経を若年と見下し、専横な振る舞いを繰り返したことが原因であると言われています。

明治2年（1869年）の版籍奉還により、忠経は知藩事となるとともに華族に列せられました。明治3年（1870年）には、敦賀藩を鞠山藩と改称しています。

同年9月、小浜藩との合併に伴い鞠山藩は廃藩となりますが、小浜藩知事であった本家筋の酒井忠禄（さかい ただとき）から藩知事の地位を譲られました。しかし、翌明治4年（1871年）の廃藩置県により、藩は廃止されることとなります。明治17年（1884年）12月5日、忠経は37歳という若さで生涯を閉じました。

系譜

父：酒井忠毗
母：酒井洛子（酒井忠方の娘）
正室：板倉禎（板倉勝顕の娘）
継室：斉藤倭文（斉藤桜門の娘）
子女：
酒井忠亮（長男、生母は禎）
* 酒井定（上杉熊松夫人）

酒井忠経は、激動の時代において、その若さにも関わらず、藩主として、そして知藩事として、時代の変化に翻弄されながらも、自らの信念に基づき藩の舵取りを行った人物として、記憶されるべきでしょう。

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