敦賀藩

敦賀藩の概要

敦賀藩（つるがはん）は、現在の福井県敦賀市を中心とした地域を支配した藩であり、別名では鞠山藩（まりやまはん）とも呼ばれています。この藩の歴史は、越前松平家から始まります。

前史

戦国時代の越前国は、織田信長の家臣である柴田勝家によって治められていました。しかし、信長の死後、勝家は羽柴秀吉と争い、敗北したため自害しました。その後、越前敦賀は秀吉の家臣・蜂屋頼隆に与えられたものの、天正17年（1589年）に頼隆が病死し、蜂屋氏は無嗣断絶となります。これにより、大谷吉継が新たに敦賀に入部し、城の拡張工事に着手しましたが、彼の多忙により敦賀における治績はあまり残されませんでした。関ヶ原の戦いで吉継が西軍に与して戦っている最中、小早川秀秋の裏切りにより敗北し、大谷氏も滅びました。

その後、徳川家康の次男である結城秀康が越前北庄に入国し、敦賀城に家臣の清水孝正を城代として置きました。しかし、元和元年（1615年）には一国一城令に基づいて敦賀城が破却され、敦賀領も事実上廃絶状態となります。

敦賀藩の設立

敦賀藩は天和2年（1682年）、小浜藩の第2代藩主である酒井忠直の次男、酒井忠稠が父の遺言に従い、越前敦賀郡および近江高島郡の一部で1万石を与えられる形で創設されました。設立当初、敦賀藩が扱う領地は小浜藩領の一部に過ぎなかったため、実際の支配権は本家の小浜藩に依存していました。

敦賀郡の赤崎において、忠稠は陣屋を設けることになりました。この陣屋は後に鞠山と呼ばれるようになり、敦賀藩はその名称でも知られるようになりました。

藩の運営と変遷

歴代の藩主は江戸に居住し、敦賀の支配は本家小浜藩が実施していたため、実際に陣屋を利用する官吏は非常に限られていました。第4代藩主酒井忠香が藩の独立を果たしたのは宝暦9年（1759年）のことですが、財政難は藩に厳しい影響を及ぼしました。

特に、第7代藩主酒井忠毗の時代には財政が悪化し、藩の自主的な廃藩を考慮する事態にまで陥りました。しかし、領民の強い反対によりその計画は頓挫しています。忠毗はその後、幕府の要職も務め、参勤交代の義務も生じました。これがさらなる財政悪化の一因となりました。忠毗は慶応3年（1867年）に家督を忠経に譲り隠居し、次男は新政府側につくなどの変動も見られました。

明治時代の変化

明治に入ると、1868年に発生した鞠山騒動を経て、藩の体制は大きく変化しました。1869年には版籍奉還が実施され、翌1870年には正式に鞠山藩と改称されましたが、その所領は小浜藩に併合されました。その後、廃藩置県により完全に藩としての機能を失い、最終的には福井県に組み込まれました。

結論

敦賀藩は小浜藩の支藩として、歴史の中で重要な役割を果たしていました。その歴代藩主は幕府の重要な職に就くなど、藩の規模に反して大きな影響力を持っていたことが特徴です。この藩の歴史を知ることは、越前地方の歴史を理解する上でも重要な要素と言えるでしょう。

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