酒井忠毗

酒井忠毗（さかいただます）

酒井忠毗は、文化12年（1815年）に生まれ、明治9年（1876年）に没した越前敦賀藩（鞠山藩）の第7代藩主です。忠稠系小浜藩酒井家の分家7代目にあたります。父は第6代藩主・酒井忠藎、母は有馬純養の娘。正室は酒井忠方の娘、継室は永井尚佐の娘です。子に酒井忠経、万木忠之らがいます。官位は従五位下・右京亮。

生涯

天保4年（1833年）に家督を継ぎました。天保14年（1843年）から若年寄を3度歴任し、その功績により文久元年（1861年）に1千80石を加増され、翌年には城主格に任じられました。

安政6年（1859年）、ロシアの東シベリア総督ニコライ・ムラヴィヨフ＝アムールスキーが軍艦を率いて江戸湾に来航し、樺太全土の領有を主張しました。忠毗は、外国事務掛として幕府とムラヴィヨフの会談に臨み、遠藤胤統とともにロシアの要求を退けました。しかし同年、藩の財政難から本家の小浜藩への所領返還を計画するも、領民の反対により中止。城主格となったことで参勤交代の義務が生じ、藩財政はさらに悪化しました。

万延元年（1861年）にヘンリー・ヒュースケン殺害事件が発生すると、イギリス公使オールコックは、江戸復帰の交渉相手として当時外国掛であった忠毗を指名。忠毗はオールコックと老中の交渉にたびたび出席し、その能力を高く評価されていました。

文久3年（1863年）には、生麦事件の賠償問題でイギリス、フランス公使らと交渉。薩摩藩が英国との直接交渉を望んだ際には、英国の薩摩国遠征を取りやめるよう依頼しましたが、薩英戦争は英国が薩摩藩と接近するきっかけとなりました。元治元年（1864年）には、下関戦争の解決のため、イギリス、フランス、アメリカ、オランダと交渉し、賠償金の支払いに合意しました。

佐幕派として幕閣の一員を務めましたが、大政奉還直前の慶応3年（1867年）に家督を子の忠経に譲り隠居。鳥羽・伏見の戦い後、近隣諸藩が新政府軍に与する中、敦賀藩も新政府に恭順しました。

明治9年（1876年）、62歳で死去しました。

系譜

父：酒井忠藎
母：有馬純養の娘
正室：酒井洛子（酒井忠方の娘）
継室：永井尚佐の娘
子女：
酒井忠経（四男、母は洛子）
万木忠之（五男）
酒井佳子（酒井忠道正室）
永井尚弼室
桜井忠剛室

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