酢酸フェニル水銀

酢酸フェニル水銀について

酢酸フェニル水銀（さくさんフェニルすいぎん、英: Phenylmercuric acetate）は、化学式CH3COOHgC6H5で示される有機水銀化合物です。この化合物は、1948年9月27日に日本で農薬として登録され、特に稲のいもち病に対する殺菌剤として利用されていました。当初は「セレサン」という商品名で流通しており、種子消毒のための塗布や浸漬処理に用いられていました。しかし、1973年10月29日にはこの化合物の農薬登録が失効し、現在ではその使用が禁止されています。また、酢酸フェニル水銀は避妊具の成分としても使われていた時期がありました。

用途

酢酸フェニル水銀は、主に農業の分野で用途がありました。特に稲のいもち病に対して効果を発揮することから、農薬として重宝されていました。その効果は、塗布や浸漬処理によって種子に作用し、病原菌の繁殖を抑えるものでした。しかし、環境や人間に対する危険性が認識されるにつれて、その有害性が問題視されるようになりました。その結果、1973年には日本での農薬としての使用が禁止され、現在では市販されることはありません。

毒性

この化合物の毒性にも充分な注意が必要です。酢酸フェニル水銀は、日本の毒物及び劇物取締法によって毒物に指定されています。その腐食性は非常に強く、特に目や気管に対して危険です。また、皮膚からも容易に吸収されてしまうため、取り扱いには細心の注意が求められます。体内に入ると、数時間後に腎臓障害を引き起こすことが確認されています。動物実験の結果として、マウスに経口投与した際の半数致死量（LD50）は43mg/kgとされています。さらに、可燃性を持ち、燃焼時には水銀蒸気を放出するため、火気に対しても注意が必要とされます。

まとめ

酢酸フェニル水銀は、その強い殺菌作用からかつては農業用殺菌剤や避妊具の成分として使用されていましたが、その毒性と環境への影響から使用が厳しく制限されるに至りました。安全性に配慮した農業や製品の選定が求められる中で、このような化合物の取り扱いについての認識を深めていくことが重要です。

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