酪酸エチル

酪酸エチルとは

酪酸エチル（Ethyl Butyrate）は、酪酸エステルの一形態であり、特にバナナやパイナップルといった果実の香りが特長の化合物です。主に食品業界において香料として用いられ、フルーツがテーマの製品やキャラメル、チーズ、さらにはナッツや洋酒の風味付けに活用されます。一般的には、28ppmから1400ppmといった濃度範囲で使用されています。フレーバーとしての非常に魅力的な性質が評価されており、その豊かな香りは多くの製品にフルーティな印象を与えます。

用途

酪酸エチルは主に食品香料としての利用が広範囲にわたります。果物の持つ自然な甘さや酸味を引き立てるため、さまざまな食品に添加されます。また、バターやチーズ、キャラメル、ナッツ、さらには洋酒に至るまで、その用途は多岐にわたります。さらに、酪酸エチルは合成樹脂やセルロースの溶媒としても役割を果たし、工業分野でも注目されています。調合香料としての使用は少ないものの、特に悪臭を隠す効果が高く、特定の製品においてはその特性が利用されています。

安全性

日本の消防法では、酪酸エチルは危険物第4類に分類され、その取り扱いには注意が必要です。上記の法令に基づき、この化合物は第2石油類に該当します。安全性を確保するため、酪酸エチルの使用に際しては注意が必要ですが、動物実験における半数致死量（LD50）は、ラットに対する経口投与で約13g/kg、ウサギに対する経皮投与で2g/kg以上と示されています。これらの値からも、酪酸エチルは一般的な取扱いにおいて危険度が高くない化合物であることが分かります。

関連項目

さらに、酪酸エチルと同様に分子式C6H12O2を持つ異性体も存在します。たとえば、酢酸ブチルやギ酸ペンチル、プロピオン酸プロピルなどがそれにあたります。これらの化合物も香料としての特性があり、各々異なる香りや風味を提供します。

酪酸エチルは、その特有の香りから、多くの食品にフルーティな彩りを与える重要な成分であり、食品業界における香料の一端を担っています。さらに、他の類似の化合物とも関係があり、さまざまな香りの世界を広げています。

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