酸化カルシウム

酸化カルシウム（生石灰）について

酸化カルシウム、または生石灰（Calcium oxide, CaO）は、工業用途を中心に幅広く利用される化合物です。また、この物質は「しょうせっかい」とも読まれることがありますが、消石灰と区別するために「きせっかい」とも呼ばれます。

生石灰は、腐食性がありアルカリ性を示します。室温では結晶の形を取り、石灰岩などのカルシウムを主体とする鉱物に含まれています。石灰という言葉には、カルシウムを含む様々な無機化合物を指す場合があり、石灰岩のように多くの成分を持つ鉱石も含まれます。対照的に、生石灰は純度の高いカルシウム化合物を指します。

調製方法

酸化カルシウムは、一般的には炭酸カルシウムを高温で加熱することによって得られます。このプロセスは「煆焼（かやき）」と呼ばれます。具体的には、炭酸カルシウムを約825°C以上に加熱すると、二[[酸化炭素]]が放出され、酸化カルシウムが生成されます。

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CaCO₃ ⟶ CaO + CO₂
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ただし、生石灰は空気中の二[[酸化炭素]]と反応し、逆反応が起こるので注意が必要です。水を加えると、この反応を止めることができ、水酸化カルシウム（消石灰）を生成します。これは、例えばライムプラスターやライムモルタルの材料となります。

反応と応用

水と生石灰を混ぜると、発熱して水酸化カルシウムが生成される反応が起こります。この反応において、1リットルの水に約3.1キログラムの生石灰を加えると、おおよそ3.54メガジュールのエネルギーを得ることができます。生石灰は、乾燥剤や殺虫剤としても使用され、温める用途に利用されることもあります。特に、火を使えない状況で温めるための防災食品やレーション用に商品化されていることもあります。

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CaO(s) + H₂O(l) ⟶ Ca(OH)₂(aq)
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この反応では、発熱が止まった後も熱平衡が続き、溶液が膨張する動きが観察されます。

産業における利用

酸化カルシウムは、製鋼やセメント製造、陶磁器やガラスの副原料、さらには土壌改良剤や耐熱素材としても重要な役割を果たしています。さらには、ガスマントルや水を検出するための材料としても使用され、その特性を利用して水分の存在を知らせる用途にも役立っています。

また、バイオディーゼルの製造においても、酸化カルシウムが重要な役割を果たしています。あらゆる用途での生石灰の利用は、非常に多岐にわたります。

生産と法規制

世界における年間の酸化カルシウムの生産量は約2億8300万トンで、中国が最も多く、生産量は年間約1億7000万トンに達します。日本では2016年度の生産量は734万トンでした。

消防法においては、水を加えることで発熱する性質から危険物に分類されていましたが、1989年以降、この分類からは除外されています。現在は一定量以上を取り扱う際には、最寄りの消防署への届出が求められています。

人体への影響

生石灰は、肌に触れると炎症を引き起こす可能性があり、吸入すると咳や呼吸困難の原因となることもあります。さらに、地獄での伝承などにおいては、罪人への懲罰の一環として生石灰が使われたとも言われており、その歴史的な背景も興味深い点です。

酸化カルシウムの化学的特性と多様な用途は、さまざまな分野において重要な資源として位置づけられています。

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