酸化ヨウ素(V)

酸化[ヨウ素]：特性と用途

酸化[ヨウ素] (I₂O₅) は、ヨウ素酸の脱水により得られる無機化合物です。別名、五酸化二ヨウ素や無水ヨウ素酸とも呼ばれ、特徴的な酸化作用を持つことで知られています。

製法

酸化[ヨウ素]は、ヨウ素酸(HIO₃)を約200℃で加熱し、脱水することで合成されます。この反応は、以下の化学式で表されます。

2HIO₃ → I₂O₅ + H₂O

この過程において、[ヨウ素]]酸から水分子が除去され、酸化[[ヨウ素]が生成します。

構造

酸化[ヨウ素]の分子構造は、2つのヨウ素原子と5つの酸素原子が結合した形をしています。ヨウ素-酸素-ヨウ素の結合角は約139.2°ですが、分子全体としては対称性のある構造ではありません。ヨウ素原子と酸素原子の結合距離は、結合位置によって異なり、ヨウ素原子と端の酸素原子の距離は約1.80Å、ヨウ素原子と2つのヨウ素原子を繋ぐ酸素原子の距離は約1.95Åです。

反応

酸化[ヨウ素]は強力な酸化剤として機能します。特に、[一酸化炭素]を[二酸化炭素]に酸化させる反応はよく知られています。この反応は定量的に進行するため、気体試料中の一酸化炭素濃度を測定する分析方法に応用されています。反応式は以下の通りです。

5CO + I₂O₅ → I₂ + 5CO₂

この反応は、室温でも効率的に進行します。酸化[ヨウ素]は、[三酸化硫黄]やビス(フルオロスルフリル)ペルオキシド(S₂O₆F₂)などとも反応し、それぞれヨージル塩([IO₂⁺])やヨードシル塩([IO⁺])といった化合物を生成します。また、硫酸とは反応してヨードシル塩を形成します。

安定性と分解

通常の状態では酸化[ヨウ素]は安定していますが、275℃以上の高温では酸素とヨウ素に分解し始めます。この分解によって生成したヨウ素によって、物質は褐色に変色します。日光への長時間露光も、同様の分解を引き起こす可能性があります。さらに、塩化水素とは反応して水と三塩化ヨウ素を、硫化水素とは激しく反応してヨウ素、ヨウ化水素、硫黄、水を生じます。

安全性

酸化[ヨウ素]は強い酸化力を持つため、取り扱いには注意が必要です。日本の消防法では危険物第一類に分類されており、適切な安全対策を講じる必要があります。

まとめ

酸化[ヨウ素]は、その強い酸化力と安定した性質から、一酸化炭素の測定など、様々な用途で利用されている重要な無機化合物です。しかし、その危険性も考慮し、適切な取り扱いが必要です。

もう一度検索