采配

采配（さいはい）とは

采配とは、戦において軍勢を指揮するために用いられた道具です。長さ約30cmほどの柄に、細長く切った紙や獣毛（主にヤクの毛である白旄）などを垂らした形状をしています。これを振ることで、軍勢に合図を送るために使用されました。

歴史

采配が広く使用されるようになったのは、16世紀頃の戦国時代と考えられています。しかし、江戸時代に入ると采配は次第に形式化し、金箔や朱塗りといった豪華な装飾が施されるようになります。実用的な指揮具としての役割は薄れ、武将の権威を示す威儀具としての意味合いが強くなりました。そのため、武将の肖像画などでは、采配が軍配などと共に描かれることがよくあります。

采配の起源については、いくつかの説があります。

鷹狩で鷹匠が合図に用いる「麾（ざい）」が変化したという説
犬追物で使用された「再拝」が転じたという説
出家した武将が、払子を指揮具として用いたものが起源とする説

しかし、これらの説はいずれも確定的ではありません。

現代における用法

現代では、采配は道具そのものを指すだけでなく、指図や指揮といった行為そのものを意味する言葉としても用いられます。「采配を執る」「采配を振る」といった表現は、その代表例です。

近年では、「采配を振るう」という言い方も現れています。文化庁は「采配を振る」が本来の言い方であるとしていますが、実際には「采配を振るう」という表現が広く使われるようになっています。

関連項目

軍配：相撲の行司が使用する道具、および、戦場で武将が用いた指揮具の一種。
指揮棒：オーケストラなどで指揮者が使用する棒。
サイハイラン：ラン科の植物。采配に似た花を咲かせる。

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