重要防護施設

重要防護施設とは、日本において、武力攻撃や大規模なテロなどの有事が勃発した場合に、自衛隊が治安出動や防衛出動を行い、最優先で警備・防護することになっている施設を指します。

概要

この制度は、当時の防衛庁（現在の防衛省）が2004年11月28日に正式に発表したもので、施設の重要度に応じてAランクとBランクの2つに分類されています。

Aランク

原子力関連施設
政経中枢地区

これらの施設は、破壊されると国民の生命に甚大な被害が出る危険性が極めて高いと判断されています。

Bランク

情報伝達ルートや通信手段（大手報道機関、通信施設など）
石油コンビナート
大工場
在日米軍基地

これらの施設は、破壊されると状況によっては国民の生命や財産に重大な影響を及ぼす可能性が高いとされています。

全国で合計135か所（Aランク91か所、Bランク44か所）の施設が重要防護施設に指定されており、それぞれの施設は自衛隊の各方面隊が担当しています。

平時における警備

平時においては、AランクおよびBランクの重要防護施設の警備は、警察が担当します。特に、Aランクに指定されている施設とその周辺では、機動隊や原子力関連施設警戒隊などの警察部隊が警戒にあたっています。

その他

全国には、自治体施設、公共交通機関、総合病院など、社会的に重要な施設が多数存在しますが、これらの施設は重要防護施設には指定されていません。これらの施設の警備は、平時には施設側が警備会社と契約して自主的に行うか、警察官が随時巡回するといった対応にとどまります。ただし、有事が差し迫った場合には、警察官の常駐などにより警備が強化されます。

用語の使われ方

警察では、警戒・警備の対象となる重要施設を総称して「重要防護施設」と呼んでいます。また、一部の民間警備会社も、重要な警備対象を「重要防護施設」と呼称する場合があります。

重要防護施設は、有事の際に国民の安全を確保するための重要な役割を担っています。

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