野上下郷石塔婆

野上下郷石塔婆の概要

野上下郷石塔婆（のがみしもごういしとうば）は、埼玉県秩父郡長瀞町に位置する青石の板碑であり、日本の文化遺産の一部として国の史跡に指定されています。この石塔婆は、緑泥片岩で作られており、その特徴的な外観は訪れる人々に強い印象を与えます。

特徴と寸法

この石塔婆の高さは約5メートル（1丈6尺7寸）で、幅は約1メートル（3尺3寸2分）、厚さは約12センチメートル（4寸）となっています。塔婆は同材質の台石の上に立っており、表面の上部には釈迦如来を表現する種子（梵字）が刻まれています。この部分は、信仰の象徴としての役割を果たしています。

その下には、光明真言が4行にわたって刻まれており、これは仏教において極めて重要な言葉でもあります。さらに下部には、応安二年（1369年）の年号とともに、「願以此功徳、普及於一切、我等与衆生、皆共成仏道」という回向偈が刻まれています。この回向偈は、すべての生きとし生けるものに功徳を広げることを願うものであり、仏教の教えを反映しています。

歴史的背景

「天道大日如来碑」とも呼ばれる野上下郷石塔婆は、仲山城主である阿仁和直家のために、その遺族によって建立されたと伝えられています。設置された時代は南北朝時代にあたり、この時期は南北両朝がそれぞれ独自の元号を持っていましたが、応安は北朝側の元号です。この歴史的背景から、この石塔婆はただの石造物ではなく、当時の社会や文化を反映した貴重な遺産であることがわかります。

史跡指定と管理

1928年（昭和3年）2月7日に国の史跡に指定された野上下郷石塔婆は、小坂区が所有し、長瀞町がその史跡管理を行っています。この指定により、石塔婆は保護され、訪れる人々がその歴史的および文化的価値を知る機会を提供しています。

まとめ

野上下郷石塔婆は、日本の仏教文化の一端を体現する重要な文化遺産であり、大型の関東型板碑として現存する中では最大級のものであります。その詳細な装飾や歴史的意義は、訪れる人々に多くの気づきを与えることでしょう。この石塔婆を訪れることで、より深く日本の歴史や文化を学ぶことができます。

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