野上寿

野上寿（のがみ ひさし）は、1910年7月28日に生まれ、1990年10月10日に逝去した日本の薬学者です。東京大学の名誉教授であり、専門は製剤学でした。また、野上壽と表記されることもあります。

岡山県で生まれた野上寿は、1928年に福岡県中学修猷館を卒業後、1931年に旧制福岡高等学校理科甲類に進学しました。その後、1934年に東京帝国大学医学部薬学科を卒業しました。1941年4月には、東京帝国大学で薬学博士号を取得。「6,8-Dimethoxy-3-alkylisocumarinの合成」に関する論文が博士論文として認められました。

1942年2月には、大阪帝国大学医学部附属医院薬局長に就任し、病院薬剤師としての経験を積みます。1948年8月には、東京大学医学部附属病院薬局長・助教授として東京大学に戻り、教育・研究活動を再開しました。1951年7月には、東京大学医学部附属病院教授に昇進。1958年4月には、東京大学薬学部製剤学教授に就任し、製剤学研究の第一人者としての地位を確立しました。

1964年4月から1968年3月にかけては、東京大学薬学部長を務め、薬学教育の発展に尽力しました。1968年3月に東京大学を定年退官しましたが、1971年には東京大学名誉教授の称号を授与され、その功績が称えられました。教育活動以外にも、1966年5月から1976年5月にかけて薬学教育協議会会長、1986年4月から1990年10月に亡くなるまで日本薬史学会会長を務め、薬学界全体の発展に大きく貢献しました。

野上寿は、研究者としてだけでなく、教育者、学会指導者としても多岐にわたる活躍をし、日本の薬学の発展に大きく貢献しました。特に、製剤学の分野では、その研究成果が今日の薬学に大きな影響を与えています。

著書

『百万人の家庭薬』（隆鳳堂書店、1961年）

参考文献

板倉聖宣監修『事典 日本の科学者―科学技術を築いた5000人』日外アソシエーツ、2014年。ISBN 978-4-816-92485-9。 606頁
* 泉孝英編『日本近現代医学人名事典』医学書院、2012年。ISBN 978-4-260-00589-0。 469頁

もう一度検索