野分 (初代神風型駆逐艦)

野分 (初代)

「野分 (初代)」は、大日本帝国海軍に所属した神風型駆逐艦（初代）シリーズの18番艦として建造されました。駆逐艦「野分」としては本艦が初代にあたり、後に陽炎型駆逐艦にも同名の「野分」が存在するため、区別のために本艦は「野分 (初代)」または「野分I」と表記されることがあります。

艦歴

本艦の建造計画は日露戦争中の1905年（明治38年）に進められました。同年2月15日には製造番号第18号として正式に「野分」と命名され、佐世保海軍工廠で同年8月1日に起工されました。約1年の建造期間を経て、1906年（明治39年）7月25日に無事進水式を迎えました。進水からわずか2日後の7月27日には、正式に帝国海軍の駆逐艦籍に類別されます。その後、最後の仕上げが行われ、同年11月1日に竣工、晴れて就役を果たしました。

就役後、本艦は様々な任務に従事しました。第一次世界大戦においては、極東における主要な作戦の一つである青島の戦いに参加し、海軍艦艇として貢献しました。また、戦時中にはシンガポール方面へも派遣され、警備任務に就いています。第一次世界大戦後の混乱期には、シベリア出兵に関連して沿海州沿岸の警備活動を担当するなど、国際情勢に応じた幅広い役割を担いました。

長い年月にわたり帝国海軍の駆逐艦として活動した「野分 (初代)」ですが、艦齢を重ねたことや、より新型の艦艇への更新に伴い、1924年（大正13年）4月1日をもって帝国海軍から除籍され、その艦生を終えました。

歴代駆逐艦長

本艦の駆逐艦長を務めた将校は以下の通りです（階級、在任期間）。

（兼）増田幸一 少佐：1906年10月20日 - 12月20日
横尾尚 少佐：1906年12月20日 - 1907年4月5日
渡辺玉樹 大尉：1907年4月5日 - 9月28日
加賀山幾 大尉：1907年9月28日 - 1908年7月11日
中山友次郎 大尉：1908年7月11日 - 1909年2月1日
（兼）吉田良鋭 大尉：1909年2月1日 - 12月1日
中山友次郎 大尉：1909年12月1日 - 1910年5月23日
巨勢泰八 大尉：1910年5月23日 - 1912年1月22日
高橋正雄 大尉：1912年1月22日 - 12月1日
田中千代太郎 大尉：1912年12月1日 - 1913年12月1日
初田甚三郎 大尉：1913年12月1日 - 1915年12月13日
江口喜八 大尉：1915年12月13日 - 1917年2月7日
彭城昌国 大尉：1917年2月7日 - 12月1日
白根貞介 大尉：1917年12月1日 - 1918年6月1日
染河啓三 大尉：1918年6月1日 - 1918年12月1日
久我徳一 大尉：1918年12月1日 - 1920年6月10日
有馬直 大尉：1920年6月10日 - 1921年7月26日
中込育三 大尉：1921年7月26日 - 1922年4月20日
（兼）佐藤慶蔵 大尉：1922年4月20日 - 7月20日
（兼）山上誠一 大尉：1922年7月20日 - 12月1日
* 帖佐敬吉 少佐：1922年12月1日 - 1923年12月1日

このように、「野分 (初代)」は日露戦争後に生まれ、第一次世界大戦やシベリア出兵といった激動の時代を駆け抜け、帝国海軍の一員としてその役割を果たしました。

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