野副鉄男

野副 鉄男について

野副鉄男（のぞえ てつお、1902年5月16日 - 1996年4月4日）は、20世紀の日本において重要な役割を果たした化学者であり、理学博士としての業績は多岐にわたります。彼は台湾での教育活動と日本に帰国後の研究を通し、化学の発展に大きく貢献しました。

生い立ちと初期の経歴

野副は宮城県仙台市に生まれ、仙台一中を経て旧制二高へ進学し、その後1926年に東北帝国大学理学部化学科を卒業しました。卒業後すぐに、日本が統治する台湾に渡り、台湾総督府専売局に勤務してキャリアをスタートさせました。この経験を通じて、彼は台湾の化学研究に携わる機会を得ました。

教育と研究

1927年、野副は台湾総督府中央研究所の助手に就任し、その後新設された台北帝国大学の理農学部に助教授として赴任しました。ここでは有機化合物の構造研究に従事し、多くの学生に化学を教えるという役割も果たしました。彼は1936年に大阪帝国大学から理学博士号を取得し、その研究テーマは「高級テルペン類似体及び其の配糖体の研究」でした。

1945年、日本の敗戦後、台北帝国大学は国立台湾大学へと改組されましたが、野副はそのまま教授職を続けることになりました。1948年に故郷日本へ引き揚げた後、東北大学理学部に講師として迎えられ、同年末には教授に昇進しました。彼は大学内に非水溶液科学研究所を創設し、トロポノイド研究などの分野を発展させました。

栄誉と受賞歴

野副はその卓越した業績により、1951年には朝日賞、1958年には文化勲章を賜りました。また、1959年には仙台市名誉市民としても表彰され、1972年には勲一等瑞宝章が授与されました。1979年には日本学士院の会員となり、同年には台湾から中華民国文化褒章も受け取っています。さらに、1981年にはアウグスト・ヴィルヘルム・フォン・ホフマン・メダルを受賞しました。

特筆すべきは、彼が1970年にノーベル化学賞候補になったことです。この情報は、ノーベル賞委員会が公開した候補者リストによって明らかにされました。

晩年と死

野副は1996年に94歳でこの世を去りました。彼の死後、従三位の位が追贈される栄誉に預かりました。

最後に

野副鉄男は、日本及び台湾における化学教育と研究の発展に寄与した偉大な学者の一人です。彼の功績は今日の科学界においても価値あるものとして受け継がれています。彼の業績や貢献について知れば、さらなる化学の世界への関心が高まることでしょう。

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