台北帝国大学

台北帝国大学の概要

台北帝国大学は、日本統治時代の1928年に台湾の台北市に設立された帝国大学で、略して「台大」と称されます。この大学は、当初は日本本土の帝国大学とは異なり、台湾総督府の管轄下にありました。

設立の背景

大学の設立は当初、「台湾大学」という名称が考えられていましたが、誤解を避けるために1927年に「台北帝国大学」へと名称が変更されました。設立は1928年3月16日に、当時の日本政府の勅令により正式に行われました。最初は文政学部と理農学部の2つの学部が設置され、教育が始まりました。

教育改革と発展

1933年には、台湾軍司令官の明石元二郎の指導のもと、台湾人学生の受け入れを広げる教育改革が実施されました。これにより、より多くの台湾人が教育を受ける機会を得ることができました。そして1941年には予科も設けられ、大学教育を志す学生のための基礎的な教育が行われました。

1945年中華民国が台湾を接収した後、台北帝国大学は国立台湾大学に改称され、台湾の高等教育の重要な機関としての役割を引き続き果たしました。

学部とカリキュラムの拡充

設立当初の学部構成は、文政学部には哲学、歴史、文学、政治の各学科が、理農学部には生物学、化学、農学、農芸化学の各学科がありました。その後、1936年には医学部が設置され、そのカリキュラムも充実し、解剖学、生理学、病理学などの分野が加えられました。

1940年には、理農学部に醸造学講座が新設され、さらにさまざまな専門分野の講座が増えることで、学部は次第に拡充されていきました。

組織の形成

昭和20年度の時点での組織形態は、文政学部、理学部、農学部、医学部、工学部、および予科が設置されていました。さらに、附属の医学専門部、南方人文研究所、南方資源科学研究所などもあり、幅広い研究が行われていました。

歴代の総長

台北帝国大学の歴代総長には、幣原坦（1928年 - 1937年）、三田定則（1937年 - 1941年）、安藤正次（1941年 - 1945年）が名を連ねています。これらの人物は大学の発展に大きく寄与しました。

結論

台北帝国大学は、台湾の日本統治時代に設立された重要な教育機関であり、多くの台湾人に高等教育の機会を提供しました。現在の国立台湾大学への移行は、台湾教育史において重要な一章と言えます。このように、台北帝国大学の歴史は、台湾の教育や社会の変遷を映し出す重要な事例となっています。

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