野原古墳群

野原古墳群の概説

埼玉県熊谷市に広がる野原古墳群（のはらこふんぐん）は、古代の墓地としての価値を持つ貴重な遺跡です。この古墳群は、和田川に面した台地に位置し、広範囲にわたってかつては30基以上の古墳が存在していました。しかし現在、山林の中には23基が確認されている状態です。1976年10月1日には、埼玉県によって重要遺跡として指定され、その文化的な価値が認識されています。

発掘調査の歴史

この古墳群は1962年に、採土工事の際に初めて発掘調査が行われました。その後、1964年には立正大学が円墳8基を対象とした更なる調査を実施しています。特に、古墳から出土した勾玉や耳環といった副葬品は、1957年に江南町において有形文化財として認定されました。

野原古墳について

業界では特に注目されているのが、前方後円墳の一つである野原古墳です。この古墳は南南東に前方部を向けて築かれ、発掘当初は墳形が乱れていましたが、調査によると全長は40メートル、高さは5メートル、後円部の直径は16メートルと記録されています。

主体部には、後円部と前方部にそれぞれ横穴式石室が存在しています。後円部の石室は南西方向に開口し、片袖形で設計されており、大刀や鉄鏃、刀子といった副葬品が発見されています。一方、前方部の石室は南東に向けて開口する片袖形で、こちらでも大刀や刀子の破片が出土しています。

特に1962年の採土作業中には、朝顔形の埴輪や男女の頭部の形象埴輪、大刀などが見つかり、これらは野原古墳の貴重な遺品となっています。築造年代は6世紀後半とされますが、興味深いことに、後円部の石室は前方部よりも古い形態をとっています。

著名な副葬品

この古墳からは東京国立博物館が所蔵している「踊る人々（馬飼埴輪）」や「笠を被る男子頭部」といった埴輪が出土しており、古墳の文化的および歴史的な価値を高めています。これらの遺物は当時の人々の暮らしや信仰を知る上で的重要な手がかりとなっています。

参考文献

いくつかの文献が野原古墳群に関する詳細な情報を提供しています。江南町教育委員会が発行した『踊る埴輪の里 江南町の文化財』や、塩野博による『埼玉の古墳 大里』、塚田良道の『人物埴輪の文化史的研究』などがあり、これらは古墳の文化的背景や出土品の解説に役立つ資料です。

古墳の調査や歴史的価値を理解するためにも、これらの資料を参照することで、より深くその魅力に触れる意義があります。

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