野坂寺

野坂寺について

埼玉県秩父市にある野坂寺（のさかじ、のさかでら）は、臨済宗南禅寺派に属する寺院で、山号は佛道山と称されています。この寺院では、観音菩薩を本尊として祀り、真言は『おん あろりきゃ そわか』です。また、御詠歌には「老いの身に苦しきものは野坂寺 今思い知れ後の世の道」とあり、信仰の深さが伝わってきます。

歴史的背景

野坂寺の創建時期については明らかになっていませんが、興味深い伝説が残されています。かつて、甲斐国（現在の山梨県）の商人がこの地を通りかかった際、山賊たちから襲撃を受けました。商人は持っていた観音菩薩像に祈りを捧げると、その像から神秘的な光が放たれ、恐れをなした山賊たちは逃げ去っていきました。残った首領は仏教に改心し、僧侶として修行を始めました。このことに感動した商人は、当地に観音像を安置する堂宇を建て、これが野坂寺の起源とされています。

その後、寺は衰退しましたが、1651年（慶安4年）に啓室によって復興されました。1741年（寛保元年）には、仏海が野坂観音堂を管理する寺として統合し、現在ある場所に移転しました。昔の観音堂は、現在の寺の裏山に位置し、「奥の院」と呼ばれていましたが、現在はその姿は見ることができません。

1906年（明治39年）には、火災により山門を除いて全てが焼失してしまいましたが、1909年（明治42年）には再建され、今に至っています。

文化財と札所

野坂寺は、秩父札所の12番目の札所としても知られ、1965年1月25日には秩父市によって指定史跡として登録されました。この地を訪れる信者や観光客にとって、精神的な支えとなる場としての重要性が増しています。

交通アクセス

野坂寺へのアクセスは非常に便利です。最寄りの駅は西武秩父駅で、徒歩約15分（約1km）で到着します。また、近くの十一番札所である常楽寺からは徒歩で約20分の距離です。札所巡りを楽しむ際には、常楽寺からの道中もぜひ味わってみてください。

他の札所との距離は、常楽寺から野坂寺までが約1.5km、野坂寺から次の札所である慈眼寺までが約1.4kmとなっています。これにより、多くの人々が秩父札所の魅力を体感しながら散策することが可能です。

参考文献

• - 埼玉県佛教会 監修『埼玉のお寺 埼玉県寺院全集』千秋社、2001年
• - 安宅夏夫 文、西田信夫 写真『秩父三十四カ所めぐり（楽学ブックス 古寺巡礼4）』JTBパブリッシング、2008年
• - 小林祐一 著『秩父三十四カ所 札所めぐり 観音霊場巡礼ルートガイド』メイツ出版、2017年

外部リンク

• - 12番 野坂寺 - 秩父札所 - 秩父札所連合会

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