野島稔

野島 稔（のじま みのる）について

野島稔は、1945年5月23日に神奈川県横須賀市に生まれ、2022年5月9日に東京都江東区で76歳で他界した日本の著名なピアニストです。彼は東京音楽大学の学長としても知られ、音楽教育の分野でも大きく貢献しました。

人物・来歴

野島は3歳からピアノを始め、桐朋学園大学で井口愛子に師事しました。彼の演奏家としての才能が開花したのは、高校3年生の時、1963年に開催された第32回日本音楽コンクールで第1位を受賞した際でした。この実績を受け、1966年にソビエト文化省の招聘でモスクワ音楽院に留学し、レフ・オボーリンのもとで学びました。

その後、彼は1968年に海外派遣コンクールで優勝し、1969年には第3回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで第2位を獲得しました。これは彼にとっての国際的な評価の始まりであり、同年にはカーネギーホールでのデビューに成功します。この後、彼は日本とアメリカを行き来しながら、自由な演奏活動を広げていきました。

ニューヨークにおいては、コンスタンス・キーンやエイブラム・チェイシンズから指導を受け、さらなる技術向上に努めました。彼の名は、アメリカで「ピアニストの中のピアニスト」として広まり、多くの聴衆を魅了し続けました。彼は1988年に「野島稔・プレイズ・リスト」、1989年には「野島稔・プレイズ・ラヴェル」という2枚のCDをリリースし、伝統的な作品だけでなく現代日本の作品にも情熱を持って取り組みました。

1986年と1988年にはロシアにて松村禎三の《ピアノ協奏曲 第2番》と《交響曲 第2番》を演奏し、国際的な舞台でもその実力を証明しました。

彼は2022年に肺がんのためその生涯を閉じましたが、彼の音楽と教育に対する情熱は多くの人々に影響を与えました。

教育者としての活動

野島は音楽家としてだけでなく、教育者としても多大な貢献をしてきました。1981年及び1985年には、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールの審査員として招かれるなど、音楽界の重要な役割を果たしてきました。特に仙台国際音楽コンクールのピアノ部門では審査委員長を務め、その豊富な経験を生かして若い音楽家を指導していました。

また、2006年に横須賀芸術劇場にて野島稔ピアノコンクールを創設し、自ら審査委員長に就任して後進育成に尽力しました。2011年からは東京音楽大学の学長を務め、教育者としての肩書きも持ち続けました。

受賞歴

彼の努力と功績は、多くの賞によって認められています。1992年には有馬賞を受賞し、2014年には日本芸術院賞を受賞しました。これらの受賞歴は、彼の音楽界における重要な地位を示しています。

影響

彼の教え子には中川真耶加などがおり、彼の影響を受けた音楽家たちが育っています。野島稔の音楽への情熱と教育に対する姿勢は、今後も多くの人々に受け継がれていくことでしょう。

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