野崎欣一郎

野崎欣一郎：琵琶湖開発と失脚

野崎欣一郎（1922年1月16日 - 1975年4月1日）は、滋賀県出身の政治家であり、2期にわたり滋賀県知事を務めました。京都帝国大学法学部を卒業後、滋賀県庁に入庁し、総務部長、副知事を歴任。1966年には、自民党、社会党、民社党の推薦を受け、全国最年少の44歳で滋賀県知事に初当選しました。

琵琶湖総合開発

野崎県政の最大の功績は、琵琶湖の総合開発を推進したことです。建設省の琵琶湖ダム化計画を撤回させ、「琵琶湖総合開発特別措置法」を成立させました。この法律により、総額4,250億円の開発事業費が投入され、県民からは野崎の勝利と評価されました。

汚職事件と失脚

しかし、野崎県政後期には、建設会社の上田建設が県政に深く関与し、県の大口入札を同社社長の上田茂男が取り仕切るようになりました。さらに、上田は長男の茂行を田中角栄の秘書として政治的な地位を築かせ、1972年の衆院選で当選させました。上田建設は、琵琶湖総合開発事業に絡む土地取引にも介入し、県土地開発公社が購入予定の土地を事前に買い占め、価格を吊り上げて巨利を得ていました。その結果、土地開発公社の負債は1974年度末には計478億円に達し、県政は破産寸前の状態に陥りました。

この汚職事件が発覚すると、1974年の知事選挙では、八日市市長の武村正義が革新統一候補として野崎に挑戦しました。選挙戦では、マスコミの世論調査で野崎有利とされていましたが、開票の結果、約8,300票の僅差で武村が勝利し、野崎は失脚しました。

失脚後の騒動と死

野崎の失脚後も騒動は収まらず、1975年には県職員の給与が支払えないという事態が発生。滋賀県の財政は破綻寸前でした。同年3月、野崎は旅行先の台湾で病状が悪化し、4月1日に肝硬変のため53歳で死去しました。

野崎の死後、大津地検は県に約209億円の損害を与えた背任罪で関係者を起訴。検察は「わが国犯罪史上最高の背任額」と指摘しました。土地転がし事件では、県の幹部や業者らが逮捕され、刑事事件として決着しました。

結論

野崎欣一郎は、琵琶湖総合開発という大きな功績を残しましたが、その一方で県政後期には汚職事件が発覚し、失脚するという悲劇的な結末を迎えました。彼の政治姿勢は、地方政治における権力と金銭の癒着という問題点を浮き彫りにし、後世に大きな教訓を残しました。

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