野忽那島

野忽那島（のぐつなじま）

野忽那島は、瀬戸内海に浮かぶ忽那諸島の一部で、愛媛県松山市に位置しています。有人島の中では一番東に位置し、面積はわずか0.92km²、周囲は5.7kmにすぎない小さな島です。島には険しい山はないものの、最高点は標高96mで、港の北側にある皿山（標高73m）からは美しい景色を楽しむことができます。ここには第二次世界大戦時の監視塔跡も残っています。

地理と交通

野忽那島の東側には斎灘が広がり、四国本土や北条鹿島を見渡すことができます。島へは、瀬戸内海汽船や石崎汽船が運航する高速艇やカーフェリーが利用され、特に広島と松山を結ぶ航路が便利です。また、石崎汽船の航路は、野忽那島と睦月島の間の芋子瀬戸を通過することもあります。周囲には、他の島々とともに瀬戸内海特有の美しい風景が広がっています。

社会と生活

今日の野忽那島では、地域の住所表記は松山市野忽那とされ、一つの集落が島の北部に形成されています。過去には漁業や農業が盛んで、神社のお祭りや盆踊り、さらに海水浴場としても賑わっていました。しかし、近年では過疎化が進み、かつての賑わいは影を潜め、小学校も2015年には児童数が僅か5名にまで減少し休校となりました。公共の施設や商店も次第に減少し、今では静かな島として知られています。

行政の変遷

明治時代には、野忽那は独立した村として形成されました。以降、隣接する睦月島と合併し、風早郡睦野村が設立され、その後は温泉郡や中島町に編入され、最終的には松山市に所属することになりました。2015年の国勢調査では106人、2020年には83人の住民が報告され、徐々に人口が減少していることが見て取れます。

歴史と教育

明治7年から小学校が開設され、明治12年には野忽那学校が独立するなど、教育面でも努力がなされていました。しかし、2008年には児童数の減少に伴い休校となり、現在は解体作業が進行中です。かつては島民が多く、賑やかだった町も、今では数えるほどの住民しかおらず、過去の栄華は残像のように消え去っています。

産業と名産

過去には柑橘類栽培や漁業が盛んで、多様な海産物が水揚げされていましたが、商店や飲食店も減少し、かつての活気は失われています。海水浴場は、以前は人気スポットでしたが、今は静かな海岸となっています。島には灯台もありますが、干潮時にのみ訪れることができるため、訪問が難しい場所でもあります。

文化的意義

野忽那島は小さなコミュニティながら、地域の伝統や文化が息づいています。映画「船を降りたら彼女の島」のロケ地としても知られています。住民たちの過去の営みや文化は、今なお島の風景に影響を与えており、時間が止まったような静かな空間を提供しています。

このように、野忽那島は自然の美しさと過去の賑わいを背負った静かな島なのです。

もう一度検索