野村四郎

野村 四郎（野村 幻雪）

野村 四郎（のむら しろう、1936年11月27日 - 2021年8月21日）は、能楽界において圧倒的な影響力を持つ観世流シテ方の名人であり、東京芸術大学の名誉教授として多くの後進の指導にも尽力しました。彼は日本能楽会の会長や観世会の監事、銕仙会理事を務め、重要無形文化財に認定された人間国宝でもあります。

彼の演技には特に根強い支持があり、2021年4月に雪号の称号を許されて以降、野村 幻雪を名乗ることになりました。彼の家系は能楽と狂言に深く根ざしており、長男の昌司も観世流のシテ方ですが、親族は和泉流の狂言方が多く、彼自身は能楽界での独自の道を歩んできました。

来歴

野村は狂言師の六世野村万蔵の四男として東京で生を受け、兄たちが狂言師になる中、自らは能楽師を志しました。1952年に二十五世観世元正の内弟子となり、1936年に初めてのシテ『俊成忠度』を演じるまでに多くの鍛錬を積みました。1962年に独立後、彼は観世流シテ方の重要な存在となり、晩年には能楽界の重鎮として知られるようになりました。

彼の影響は国内に留まらず、海外でも能楽の普及に力を入れ、ヨーロッパ、北米、インドなどで公演を行いました。このような国際的活動により、能楽の魅力を広めることに貢献し、演技は多くの人々に感銘を与えています。

さらに、東京芸術大学で教授として能楽を教えるだけでなく、ワシントン大学やハワイ大学でも指導活動を行い、幅広く能楽の文化を発信しました。彼は舞台においても古典の作品に加えて、新作能の制作や他流との共演、さらには邦楽や洋楽とのコラボレーションなど、豊かな表現を追求しました。

功績

彼の功績は多岐にわたります。1978年には重要無形文化財「能楽」の保持者に認定され、1987年には文化庁芸術祭優秀賞を受賞しました。また、1994年には芸術選奨文部大臣賞、1998年には紫綬褒章を受章し、2006年には日本芸術院賞も受賞しました。2016年には能シテ方の人間国宝として認定を受け、2018年には旭日小綬章の受章に至ります。

2021年4月には雪号を授与され、「幻雪」と改名し、新たな局面を迎えました。しかし、彼はその後短い期間で生涯を閉じることになりました。2021年8月21日、発血管炎性肉芽腫症により84歳で逝去し、その舞台は2021年7月28日に行われた東京2020オリンピック・パラリンピック能楽祭での出演が最後となりました。

主な舞台と著作

彼のキャリアには多くの舞台が含まれ、その中には古典の秘曲や新作能、異分野との共演がありました。著作も数多く、『能を彩る文様の世界』や『仕舞入門講座』など、能楽の普及にも寄与する作品が存在します。

野村四郎の影響力は多大であり、彼の作品と教育への貢献は、今後の世代にもしっかりと受け継がれていくでしょう。

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