野村育世

野村育世（1960年生まれ）は、日本史、特に中世史と女性史を専門とする研究者です。東京都で生まれ、早稲田大学第一文学部日本史学科を卒業後、同大学院文学研究科博士後期課程を単位取得満期退学しました。2003年には、「中世の家と後家・母・女院」の研究で文学博士号を取得しています。

彼女は女子美術大学付属高等学校・中学校の教諭として勤務する傍ら、インディペンデント・スカラーとして研究活動を継続しています。その研究は、中世社会における女性の地位や役割、家族、宗教といった多角的な視点から日本の歴史を掘り下げている点が特徴です。

主な著書としては、以下のものが挙げられます。

『北条政子 尼将軍の時代』 (吉川弘文館、歴史文化ライブラリー、2000年): 鎌倉幕府を支えた北条政子の生涯を、政治史、女性史の視点から描き出しています。
『仏教と女の精神史』 (吉川弘文館、2004年): 仏教が日本の女性たちにどのような影響を与えたのか、その精神史的な側面を考察しています。
『家族史としての女院論』 (校倉書房、2006年): 女院という存在を、単なる皇族女性としてではなく、家族史の視点から捉え、その役割や影響力を分析しています。
『ジェンダーの中世社会史』 (同成社、2017年): ジェンダーという視点から中世社会の構造や人々の生活を分析し、新たな歴史像を提示しています。

また、共著として、以下のものがあります。

『絵本日本女性史 1 原始・古代・中世』 (大月書店、2010年、石井勉絵): 絵本形式で日本の女性史をわかりやすく解説しています。
『絵本日本女性史 4 学習の手引き』 (大月書店、2010年、関民子共編著):

野村育世の研究は、従来の歴史学の枠組みにとらわれず、女性史、ジェンダー史といった新しい視点を取り入れることで、日本史研究に新たな展開をもたらしています。教育者として教鞭を執る傍ら、研究者として精力的に活動を続ける彼女の今後の研究成果が期待されています。

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