野村芳兵衛

野村芳兵衛の教育思想とその影響

野村芳兵衛（のむら よしべえ、1896年3月26日 - 1986年11月4日）は、日本の教育者として、その生涯において数多くの功績を残した。彼は岐阜県の農家に長男として生まれ、浄土真宗の影響を受けながら成長しました。特に、信仰の大きな柱となった親鸞の教えが、彼の精神形成や教育観に深く影響を及ぼしました。特に、真宗活動家の梅原真隆に感銘を受け、そのスローガン「純に生きる」を人生の指針とするようになりました。

教育者としての道

当初は農家を継ぐ予定でしたが、高等小学校を卒業後、校長から代用教員としての職務を託されます。准教員を経て岐阜師範学校を卒業した後、地元の小学校や岐阜女子師範学校付属小学校で教鞭を執りました。1924年に上京し、自由主義教育の先駆者である野口援太郎が創設した池袋児童の村小学校で訓導として教え始めます。

野村は農村の教育に従事してきた背景から、東京の知識人たちが提唱する新思想には馴染みを感じることができず、親鸞の教えを基盤にしながら、共生や協力、また共同自治の精神で、子どもたちが共に学べる場を創造することが教師の使命と捉えるようになりました。彼は1935年に「生活教育研究会」を設立し、機関誌『生活学校』を創刊しましたが、この学校も1年後には閉校してしまいます。

戦後の教育実践

第二次世界大戦後、故郷の岐阜に戻り、1946年に岐阜師範学校付属の長良国民学校（のちに小学校へ改称）の校長に就任します。ここで実施された彼の教育実践は「長良プラン」と名付けられ、広く注目を集めました。1953年には岐阜市立徹明小学校の校長を務めましたが、彼の異動は批判的な発言が原因とも言われています。その後、岐阜大学附属小中学校の設立に伴い附属中学校主事に任命され、さらに聖徳学園女子短期大学にも携わることとなります。

著作活動

野村はまた、多くの教育に関する著作を発表しました。彼の初期の著作には、1925年の『文化中心修身新教授法』や1926年の『新教育に於ける学級経営』などがあります。さらに、教育実践の重要性を探求した作品として、1930年の『生活指導尋一修身教育の実際』や1932年の『生活訓練と道徳教育』が挙げられます。また、彼は1946年から1974年の間において、自らの著作集を全8巻としてまとめ、教育の理念や実践を幅広く網羅しました。特に『野村芳兵衛著作集』は、彼の教育観や実践の全貌を知る上で貴重な資料となっています。

影響と評価

野村芳兵衛は、教育現場での実践を通じて、多くの教育者や学生に影響を与え続けました。彼の思想や実践は、教育の重要性を再認識させるものであり、現代においてもなお、多くの教育者にインスピレーションを与えています。彼の生涯は、教育への深い情熱と信念を持った一人の教育者として、多くの人々に記憶され続けることでしょう。

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