野村達雄

波瀾万丈の人生から世界的なアプリ開発へ：野村達雄氏の軌跡

野村達雄氏は、中国黒竜江省生まれ、長野県長野市育ちのエンジニア、ゲームクリエイターです。現在、Niantic, Inc. Tokyo Studio代表として活躍する彼の歩みは、決して平坦なものではありませんでした。

極貧の幼少期と来日

幼少期の名前は石磊。中国で両親と4人の姉と、土と藁でできた家に住む極貧の生活を送っていました。主食はトウモロコシ粥で、母親は豆腐の行商をして生計を立てていました。彼の内祖母は、福井県小浜市出身の中国残留日本人。複雑な歴史的背景を持つ家族の中で、野村氏はたくましく育ちました。9歳の時、より良い生活を求め、一家で日本へ移住。1995年には東京都練馬区の小学校に編入し、その後長野市に移り住みます。

努力と才能が開く道

日本語が話せない状態から、新聞配達などのアルバイトをしながら、建設現場や豆腐工場で働く両親を支えました。長野東部中学時代には、新聞配達で貯めたお金でパソコンを購入。独学でプログラミングを習得するという並々ならぬ努力を見せます。長野吉田高校を経て信州大学工学部に進学。大学4年生の時に日本国籍を取得し、卒業後は東京工業大学大学院に進学。松岡聡教授の指導の下、スーパーコンピュータの研究を行い、高い評価を得ました。「ステンシル計算を対象とした大規模GPUクラスタ向け自動並列化フレームワーク」に関する研究で、情報処理学会2011年度コンピュータサイエンス領域奨励賞を受賞しています。

グーグル、Niantic, Inc.での活躍

2011年、東京工業大学大学院修了後、グーグル株式会社（現グーグル合同会社）に入社。その後、Google Inc.を経て、2015年からNiantic Labs、そしてNiantic, Inc.へと移籍。同社ではプロダクト部門シニアマネージャーやPokémon GOのプロダクトマネージャーを歴任しました。Google在籍中は、エイプリルフール企画でGoogleマップのファミコン版や宝探しバージョン、ポケモンチャレンジなどの開発にも携わっています。

2018年には、Niantic, Inc.が初めて海外に設立した開発拠点であるTokyo Studioの代表に就任。Pokémon GOの開発・運営にも深く携わり、世界的なゲームの成功に貢献しました。さらに、2021年には京都芸術大学に編入学し、建築デザインを学ぶなど、多様な分野への探究心も持ち合わせています。

執筆活動

自身の経験をまとめた著書『ど田舎うまれ、ポケモンGOをつくる』を出版。自身の生い立ちや、世界的なアプリ開発に携わるまでの道のりを克明に綴っています。

まとめ

野村達雄氏の成功物語は、決して恵まれた環境ではなかった彼の努力と才能、そして周囲の人々への感謝の念によって築かれたものです。彼の経験は、困難な状況にあっても夢を諦めずに努力を続けることの大切さを私たちに教えてくれます。世界的なアプリ開発に携わるだけでなく、建築デザインにも関心を持ち、常に新しいことに挑戦し続ける彼の今後の活躍にも期待が高まります。

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