野洲市内じゅんかんバス

野洲市内じゅんかんバス



滋賀県野洲市において、かつて運行されていたコミュニティバスが「野洲市内じゅんかんバス」です。このバスは、野洲市(合併前は野洲町)が事業主体となり、運行業務を近江鉄道バスおよび滋賀バスに委託する形で運営されていました。地域住民の移動手段として重要な役割を担っていましたが、2010年3月31日をもってその運行を終えました。

沿革



野洲市内じゅんかんバスの歴史は、まだ野洲町だった1990年(平成2年)に「町内循環バス(野洲)」としてスタートしました。当初は1つの路線で運行が始まりましたが、1996年(平成8年)には、南循環と北循環の2路線体制へと拡充されます。

大きな転機となったのは、2004年(平成16年)10月1日野洲町と中主町が合併し、新たに野洲市が誕生したことです。これに合わせてバスの名称も「野洲市内じゅんかんバス」と改められました。翌年、2005年(平成17年)4月に行われたダイヤ改正では、ルートの見直しとともに、旧中主町域への運行が開始されました。これは、それまで旧中主町で行われていた高齢者向けの送迎サービスとは別に、新たなコミュニティバス事業として位置づけられました。

その後、2009年(平成21年)4月の改正で運休日が追加されます。それまでの運休日は日曜、祝日、年末年始(12月29日から1月3日まで)でしたが、この改正から土曜日も運休の対象となりました。

そして、2010年(平成22年)3月31日の運行を最後に、野洲市内じゅんかんバスはその役目を終えました。翌日からは野洲市の直営事業として、新たなコミュニティバス「野洲市コミュニティバス(おのりやす)」が運行を開始し、サービスを引き継いでいます。

運行内容



野洲市内じゅんかんバスは、野洲市が事業として運営し、運行コストのうち赤字分は市が負担していました。

運賃

運賃は距離に応じて決まる距離制が採用されていました。最も短い区間の初乗り運賃は170円で、最も高額となるのは「あやめコース」を全区間乗り通した場合の510円でした。

一部の利用者には運賃の割引や無料措置が適用されていました。具体的には、未就学児、障がいのある方、そして野洲市が発行する高齢者福祉カードである「野洲市げんきカード」を所持する70歳以上の高齢者は無料で乗車できました。

運休日

運行開始当初からの運休日は日曜、祝日、および年末年始(12月29日から翌年1月3日まで)でした。しかし、2009年4月からは土曜日も運休となり、平日の月曜日から金曜日のみの運行となりました。

運行路線(廃止時)



廃止時点で運行されていた主な路線は以下の4つでした。これらの路線のうち、「三上コース」の運行は滋賀バスに、「あやめコース」「祇王・中里コース」「篠原コース」の運行は近江鉄道バスにそれぞれ委託されていました。

あやめコース: 野洲駅を起点に、野洲市役所前、北野小学校前を経由し、中主中学校前、あやめ浜方面を結ぶ路線です。旧中主町域への主要なルートの一つでした。
祇王・中里コース: 野洲駅発着の循環路線で、市役所や総合体育館、野洲市役所分庁舎などを経由し、旧中主町の中里地区方面を巡るルートでした。一部区間は庁舎間の連絡機能も担っていました。
篠原コース: 野洲駅発着の循環路線です。市役所や野洲健康福祉センター前を経由し、篠原駅や篠原小学校方面を巡りました。
三上コース: 野洲健康福祉センター前を起点・終点とする路線で、近江富士団地や三上小学校前を経由し、野洲駅を結んでいました。この路線のみ滋賀バスへの委託でした。

これらの路線の多くは循環形式でしたが、一方通行ではなく逆回りの便も設定されていました。これにより、各路線とも1日に3往復から4往復程度の便が運行されていました。

車両については、「あやめコース」と「祇王・中里コース」では同じ車種が使用されていましたが、車体の色は異なっていました。「篠原コース」と「三上コース」も同様に、同じ車種の色違いが使われるケースがありました。

使用車両



野洲市内じゅんかんバスでは、主に以下の車種が使用されていました。

三菱ふそう・エアロミディME
三菱ふそう・ローザ
* 日産ディーゼル・RM

終焉とその後の移行



2010年3月31日の運行終了をもって、野洲市内じゅんかんバスとしての歴史に幕が下ろされました。翌4月1日からは、運行形態を市の直営へと変更した新たなコミュニティバス「野洲市コミュニティバス(おのりやす)」が運行を開始し、地域交通としての役割は引き継がれています。

このバスの運行期間中、野洲市ではこれとは別に、本庁舎と野洲市役所分庁舎を結ぶ庁舎間連絡便も運行されていました。じゅんかんバスの「あやめコース」や「祇王・中里コース」も、野洲駅や本庁舎から分庁舎へのアクセス手段としての役割を一部担っていました。

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