野獣 (聖飢魔IIの曲)

聖飢魔IIのヘヴィメタル・シングル「野獣」：バンドの歴史と楽曲への深い愛情

聖飢魔IIの20枚目のシングル「野獣」は、1996年5月22日にリリースされたヘヴィメタル楽曲です。この曲は、バンドが地球デビューする以前から存在しており、その誕生からリリースまでには、数々の興味深いエピソードが隠されています。

「野獣」の作詞・作曲はダミアン浜田が担当し、編曲は松崎雄一が手掛けています。この楽曲は、1995年8月に行われた日比谷野外音楽堂での黒ミサ「THE SATAN ALL STARS」をきっかけに、シングル化されることになりました。この黒ミサで、ダミアン浜田はデーモン小暮との対談の中で、「野獣」を自身の作品の中で最も好きな曲であると発言しました。

しかし、この発言については、後にダミアン浜田自身による訂正がなされています。2014年のTwitterにおいて、彼は自身の楽曲に優劣をつけることはできず、「野獣」への思い入れは深いものの、「一番好きな曲」という表現は正確ではないと説明しています。それでも、この発言が「野獣」のシングルリリース、そしてアルバム『メフィストフェレスの肖像』への収録決定に大きな影響を与えたことは確かです。

興味深いことに、1995年の「THE SATAN ALL STARS」黒ミサでは「野獣」は演奏されませんでしたが、聖飢魔II解散前最後の黒ミサ「THE ULTIMATE BLACK MASS」(1999年)の二日目「THE SATAN ALL STARS' DAY」では、ダミアン浜田の出演と共に「野獣」が演奏されました。このパフォーマンスは、長年のファンにとって、特別な瞬間となったことでしょう。

「野獣」は、音楽史における位置づけだけでなく、フィクションの世界にも登場しています。長嶋有の短編小説『センスなし』（『泣かない女はいない』所収）には、この楽曲が作中に登場し、物語に独特の雰囲気を添えています。

シングル「野獣」には、表題曲の他にデーモン小暮作詞、ゼノン石川作曲の「WINNING GATE」、そして「野獣」のオリジナルカラオケが収録されています。「WINNING GATE」は、聖飢魔IIの楽曲の中でも異彩を放つ一曲であり、「野獣」とは異なる魅力を持っています。

「野獣」は、単なるヘヴィメタル楽曲という枠を超え、聖飢魔IIの歴史、メンバーの想いを反映した、バンドにとって非常に重要な一曲と言えるでしょう。その誕生秘話、演奏された黒ミサ、そして小説への登場など、様々なエピソードが「野獣」をより魅力的な楽曲へと昇華させています。リリースから年月が経った今でも、多くのファンを魅了し続ける「野獣」は、聖飢魔IIの音楽史において、特別な位置を占めていると言えるでしょう。

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