野球タイ王国代表

タイ王国野球代表

タイ王国野球代表は、タイにおける野球ナショナルチームです。近年、東南アジアの野球シーンにおいて急速にその存在感を増しており、新興国として注目されています。

国際舞台での歩み

タイ代表は、様々な国際大会に出場し、経験を積んでいます。2006年にはアジアン・ベースボール・カップで準優勝という成績を収め、その結果、北京オリンピック野球アジア予選を兼ねた第24回アジア野球選手権大会の一次リーグへと駒を進めました。同年開催されたアジア競技大会では、日本のような強豪チームには敗れたものの、フィリピンを下すなど健闘し、5位に入賞するなど、チームの実力が着実に向上していることを示しました。

2007年11月には、予選ラウンドで敗退したものの、IBAFワールドカップにも出場しています。

同年開催されたアジア野球選手権では、予選リーグ突破が有力視されていましたが、香港戦での「イリーガルバット」によるアウト判定という珍しいアクシデントに見舞われながらも勝利したものの、パキスタンに敗れ、フィリピンとは引き分けに終わったため、惜しくも予選リーグ突破はなりませんでした。

しかし、同じく2007年の東南アジア競技大会では、決勝戦でフィリピンを破り、見事に優勝を果たし、金メダルを獲得するという快挙を成し遂げました。これはタイ野球にとって大きな自信となる出来事でした。

2009年のアジアン・ベースボール・カップでは、初戦でスリランカに敗れるなど、5位という結果に終わっています。

また、野球界最高峰の国際大会の一つであるワールド・ベースボール・クラシック（WBC）にも挑戦しており、2012年の第3回大会では予選に参加しました。この際には、母親がタイ出身である元メジャーリーガー、ジョニー・デイモン選手がタイ代表として出場したことでも話題となりました。しかし、予選ではフィリピンとニュージーランドに連敗し、本戦進出はなりませんでした。

日本式の強化戦略

タイ野球代表の強化には、日本の指導者たちが深く関わっています。2007年7月には、日本の野球評論家である江本孟紀氏が総監督に就任しました。江本氏は直接的な現場指導ではなく、日本とタイの間のパイプ役として、タイ野球全体のレベルアップに向けた活動を展開しています。

監督には、元プロ野球南海ホークスでプレーした寺岡孝氏が就任。さらに、ピッチングコーチには元阪神タイガースの渡辺博敏氏と元横浜ベイスターズ（現横浜DeNAベイスターズ）の河原隆一氏、トレーナーには横浜で接骨院を経営する杉田一寿氏が就任するなど、日本式の指導スタイルに基づいたチーム強化が進められています。この影響もあり、チームのプレースタイルは日本の高校野球に近いと言われています。

チーム構成と課題

タイ代表チームを構成するのは、主に国内のアマチュアリーグでプレーする選手たちです。多くの選手が仕事を持ちながらプレーする社会人選手か大学生であり、専業のプロ野球選手は少ない現状です。しかし、一部には日本へ野球留学し、技術を磨く選手もいます。

東南アジア地域におけるタイ野球のレベルは近年向上しており、フィリピンに匹敵する力を持つに至っています。一方で、チーム全体としてのレベルアップにはまだ課題も残されており、今後の継続的な強化が必要です。

タイ代表は、上記の大会以外にも、オリンピックやWBSCプレミア12といった国際大会の参加リストに名前を連ねています（具体的な参加年や成績の詳細は限られます）。

過去には渡辺博敏氏、寺岡孝氏、徳永政夫氏、上野正忠氏らが監督を務めてきました。また、代表選手としては、白倉キッサダー選手（投手）、スティキアット・ブンナム選手（内野手）、スパラッ・ティーパカコーンノ選手（外野手）、良藤有泰選手（外野手）などが知られています。

着実に実力をつけ、東南アジアにおける野球の重要国の一つとなりつつあるタイ野球代表の、今後のさらなる発展が期待されています。

もう一度検索