野生 (アルバム)

アルバム『野生』（やせい）

『野生』は、著名な作曲家ヴァンゲリスの作品であり、フランスの映画監督フレデリック・ロシフによるドキュメンタリー映画『Opera Sauvage』のために制作されました。このアルバムは、自然の美しさや動物の生態をテーマにしており、音楽を通じて視覚的な物語を展開しています。ヴァンゲリスは、同監督の他の作品にも関与しており、特に『野生の祭典』や『動物の黙示録』においても、その独特な音楽スタイルを発揮しています。

アルバムの特徴

『野生』は、独創的なメロディと環境音を巧みに組み合わせており、聴く者を別世界へと誘います。また、アルバム内の曲には、彼の代表作らしいシンセサイザーの使い方が際立っており、聴き手に深い印象を与えます。特に、7曲目の「紅鶴」では、シンガーソングライターであり、デュラン・デュランやYesのメンバーでもあるジョン・アンダーソンがハープの演奏で参加しており、その響きが楽曲にさらなる深みを加えています。

収録曲の詳細

以下に、アルバム『野生』に収録されている曲の一覧と、その特徴について詳細に解説します。

1. 讃歌 - Hymne (2:46)
- 短いが力強いメロディを持つこの曲は、アルバムのオープニングにふさわしい神聖さを感じさせます。

2. 夢 - Rêve (12:32)
- 長大なトラックであるこの曲は、聴く者を夢の世界に誘います。幻想的な旋律が流れる中で、沈黙と音のコントラストが生まれます。

3. 子供 - L'Enfant (5:05)
- 子どもの無邪気さや純粋さを表現しており、心温まるメロディに魅了されることでしょう。

4. かもめ - Mouettes (2:30)
- 海の雰囲気を感じさせる曲で、かもめの鳴き声を模した音が特徴です。

5. クロマティック - Chromatique (3:31)
- 音楽用語で「半音階」を意味するこの曲では、複雑なメロディが展開され多様な音色の変化が楽しめます。この曲名は、国内盤LPでは「クロマテック」とも表記されています。

6. アイルランド - Irlande (4:47)
- アイルランドの風景を思わせる音楽で、その民族音楽的な要素が色濃く表れています。

7. 紅鶴 - Flamants Roses (11:50)
- この曲は、実際にはフラミンゴを指しており、その美しさを音楽の中に描写しています。ジョン・アンダーソンのハープが心地よい音色を提供し、聴く人々を魅了します。

変遷する曲名

なお、収録曲の中には日本語タイトルが異なる場合があります。特に、1曲目の「讃歌」は、国内盤CDでは「賛歌」とされたり、5曲目の「クロマティック」は、LP時代には「クロマテック」という表記が使われていたりします。このように、同じ音楽であっても、メディアや時代によって語られ方が変わるのは興味深い現象です。

このように、『野生』はヴァンゲリスが自らの音楽で自然や生命の力を表現した素晴らしいアルバムとして、多くの音楽ファンに愛され続けています。

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