野田・福島の戦い

野田・福島の戦い：大坂冬の陣における激戦

大坂冬の陣において、1614年（慶長19年）11月28日から29日にかけて、摂津国野田・福島地区で激戦が繰り広げられました。この戦いは、豊臣方と徳川幕府方の水軍を巻き込んだ、冬の陣を代表する戦闘の一つとして知られています。

豊臣方の守備体制

豊臣方は、天満川と木津川の合流地点付近に水軍の主力部隊を展開し、その防衛拠点として野田・福島地区西南端の新家に船倉を築いていました。特に下福島地区の五分一という地点には、三重の柵と櫓を築き、大野治胤率いる800名の兵を配置して厳重な警備体制を敷いていました。さらに上福島にも砦を築き、宮島兼与率いる2500名の兵が守備に当たっていました。この配置は、水路からの攻撃を防御することを主な目的としていたと考えられます。

幕府軍の攻撃と戦いの経過

徳川幕府方では、九鬼守隆、小浜光隆、千賀信親、向井忠勝ら水軍の武将が率いる部隊が、11月19日から26日にかけて何度もこの地域に侵入し、小競り合いを繰り返していました。これは、豊臣方の守備状況を探るための偵察や、心理的な圧力をかけるための行動だったと推測されます。

11月28日夜半、大雨の中、九鬼、向井、千賀勢は下福島の五分一を奇襲しました。予想外の攻撃と悪天候に守備兵は驚き、恐怖に陥り、天満方面へと逃散しました。この時点で、豊臣方の守備は崩壊したと言えるでしょう。

11月29日未明、池田忠雄、戸川達安らの幕府軍部隊が到着しましたが、既に敵は撤退した後で、彼らは上福島の砦まで進撃し、周辺を焼き払い、砦を制圧しました。

戦いの意義と影響

野田・福島の戦いは、大坂冬の陣における一戦闘ではありましたが、豊臣方の水軍防衛拠点に対する幕府方の攻撃の成功例として注目に値します。この戦闘の結果、豊臣方の水軍は大きな打撃を受け、その後の戦いに大きな影響を与えたと考えられます。また、この戦いは、幕府方の水軍の戦力と戦略の優位性を示すものとなりました。大雨の中での奇襲攻撃という戦術も、幕府方の勝利に大きく貢献したと言えるでしょう。

参考文献

『戦況図録 大坂の陣』（新人物往来社 別冊歴史読本56）
『激闘 大坂の陣』（学研 歴史群像シリーズ【戦国】セレクション）

関連項目

* 野田城 (摂津国)

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