野田努

野田 努（のだ つとむ）

野田努（のだ つとむ）は、中部地方静岡県静岡市に生まれた1963年生まれの音楽ライター、編集者です。音楽業界では特にテクノの分野での活動に焦点を当てており、多岐にわたるキャリアを築いてきました。彼の活動は、個々の音楽の枠を超えた広がりを見せています。

経歴と活動

彼の音楽に対する情熱は若い頃から始まりました。田舎町で学生時代を共にした石野卓球やその仲間たちとの交流が、彼の音楽的背景に大きな影響を与えています。特に、弟が使っていた「くちづけ」という名のアーティスト名からも、彼が音楽と深く結びついていることが伺えます。また、かつては「マッチ売りの少年」というバンドでボーカルを務めるなど、若い頃から音楽に関わってきました。

彼のテクノミュージックへの関与は早くから開始され、1990年代半ばには日本でテクノが急速に人気を博していく中、その舞台を駆け抜けました。彼は、Nゲートにて行われたティモシー・リアリーのイベントを主催し、音楽の可能性を広げる役割を果たしました。さらに、日本におけるテクノレーベルの先駆けとして名を刻むフロッグマンレコーズの設立にも関与し、理念の相違から脱退するまで、彼の音楽的信念を貫いたのです。

1995年、野田は日本初のテクノ専門誌『ele-king』を創刊しました。この雑誌は、テクノを主軸としたエレクトロニック音楽の情報発信の場となり、次第にDJシャドウやDJクラッシュ、フィッシュマンズ、トリッキーなど幅広いジャンルのミュージシャンを取り上げるように進化しました。残念ながら2000年に『ele-king』は廃刊となりましたが、彼はその後クラブミュージック専門の雑誌『remix』のスーパーーバイザー、後に編集長としての役割を担い、彼の地位をより固めていきました。

2010年には『ele-king』を再刊し、WEB版の編集長としての役割を果たすとともに、季刊誌の紙版を三田格や松村正人と共に手掛けました。アンダーグラウンド・レジスタンスなどの海外アーティストとの交流もあり、彼の音楽的ネットワークの広さがうかがえます。特にデリック・メイの1995年アルバム「イノベイター」は野田の計画によって日本での先行発売が実現しました。

主な著書

野田は執筆活動にも力を入れており、いくつかの単著や共編著を出版しています。以下はその一部です。

• - 単著

- 『ブラック・マシン・ミュージック』（河出書房新社、2001年）
- 『ジャンク・ファンク・パンク』（河出書房新社、2003年）
- 『ロッカーズ ノー クラッカーズ』（河出書房新社、2004年）
- 『もしもパンクがなかったら』（メディア総合研究所、2010年）

• - 共編著

- 『電気グルーヴ 俺のカラダの筋肉はどれをとっても機械だぜ』（宝島社、1992年）
- 『クラブ・ミュージックの文化誌』（宝島社、1993年）
- 『NO!!WAR』（河出書房新社、2003年）
- 『TECHNO definitive』（Pヴァイン〈ele-king books〉、2012年）

野田努の影響力は、音楽だけでなく、音楽の裏側にある文化やトレンドにまで及んでいます。彼が貢献してきた音楽シーンは、今後も多くの人々にインスピレーションを与え続けることでしょう。そして、野田はその独自の視点と経験を通じて、音楽界の進化を支えていく重要な存在であると言えます。

もう一度検索