三田格

三田格（みた いたる、1961年 - ）は、日本の音楽ライター、DJ、編集者です。カリフォルニアで生まれ、幼少期に日本へ帰国。銀座で育ち、築地の小学校に通いました。中学校時代には、深沢七郎の『深沢ギター教室』を手にギターを始め、ジョン・ライドンの写真が載った雑誌を熱心に読んでいたそうです。中学時代はディスコ、高校時代はパンクに傾倒し、イラストレーターを目指していた時期もありました。浪人時代には本屋でアルバイトをし、ジャズに対する興味を抱くようになります。

東京藝術大学に進学するも中退。在学中には、三木成夫の授業で「形」について深く考えるようになったと語っています。大学入学後すぐに北宋社という出版社で編集者としてのキャリアをスタートさせ、20歳そこそこでカート・ヴォネガットやフィリップ・K・ディックの研究読本を制作。1990年頃からは、音楽を中心に執筆活動を本格化させていきました。

一時期、文章が書けなくなった際には、最も敬愛する作家の一人である種村季弘の文章を模写していたそうです。近所に住んでいた作家の保坂和志とは、学生時代に編集プロダクションを共同で運営していました。当時、西武の社員であった保坂が代表を務めていたそうです。1980年代後半からの約10年間、雑誌「NME」を毎週購読し、レイヴカルチャーに関する記事の見出しは全て記憶しているとのことです。2003年には、イラク戦争に反対するサウンドデモに菊地成孔を招聘しました。

三田格の父親は生物学者であり、バイオテクノロジーの研究者であったため、科学史や科学哲学に関する書籍を幼少期から親しんでいました。特に、『日経サイエンス』は常にチェックしていたそうです。執筆活動においては、主にハウスミュージック、テクノ、レイヴといった分野を中心に、音楽批評を展開。野田努やKENGOらと共に、日本テクノ黎明期からテクノ音楽批評を牽引してきました。また、文学や社会批評にも積極的に取り組んでいます。

編集者として関わった主な書籍には、自身の初期の編集作品である『あぶくの城 フィリップ・K・ディックの研究読本』や『吾が魂のイロニー－カート・ヴォネガットJrの研究読本』、糸井重里が発行人を務めた『夕刊イトイ』、スティーヴン・キングの研究読本である『モダンホラーとUSA: スティーヴン・キングの研究読本』などがあります。他にも、『週刊本』シリーズや『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』、『全東京街道―東京はこう歩くと美味しい!』、『なぜなにキーワード図鑑REMIX』など、多岐にわたるジャンルの書籍を手掛けています。さらに、『RCサクセション　遊びじゃないんだッ』や『生卵 忌野清志郎画報』といった音楽関連の書籍、『赤塚不二夫 裏1000ページ』、『水木しげる 超1000ページ』、『手塚治虫 エロス1000ページ』などの漫画家関連の書籍の編集も担当。近年の著書では、『DOMMUNE OFFICIAL GUIDE BOOK Vol.1』や『ゲゲゲの娘　レレレの娘　らららの娘』、『ビッチの触り方』など、幅広いテーマを扱っています。

著書としては、『ダークサイドの憂鬱 「崩壊家庭」の社会学』や、『テクノ バイヤーズ・ガイド selected techno discs 1983‐2003』、『NO!!WAR』、『Ultimate cut up music オールジャンル・コンプリート・ディスクガイド 2000-2005 総集編』、『アンビエント・ミュージック:1969-2009』、『ゼロ年代の音楽 壊れた十年』、『裏アンビエント・ミュージック1960-2010』、『ゼロ年代の音楽　ビッチフォーク編』、『TECHNO definitive』、『無縁のメディア　映画も政治も風俗も』、『AMBIENT definitive 1958-2013』、『HOUSE definitive』、『クラブ / インディ レーベル・ガイドブック』など、数多くの作品があります。

CDのプロデュースも手掛けており、『赤塚不二夫トリビュート・アルバム 四十一才の春だから』やWHY SHEEP『REAL TIMES』、『ライジング・ハイ・クラシックス』などがあります。

参考文献として、『nu vol.3』「三田格＋大谷能生」や、『音盤時代の音楽の本の本』などが挙げられます。三田格は、音楽、文学、社会批評といった様々な分野を横断する、非常に多才な人物と言えるでしょう。

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