野田峯雄

野田峯雄（のだ みねお）は、1945年に山梨県で生まれ、2016年7月に71歳で亡くなった日本のジャーナリスト、ルポライター、そして評論家です。同志社大学文学部を卒業後、ジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせました。彼は、『世界』のような月刊誌や『週刊現代』といった週刊誌を舞台に、精力的に執筆活動を展開しました。

彼の著作の著者紹介によれば、野田は「日本および日本人が置かれた状況を直視する仕事」を追求し続けた人物でした。その言葉通り、彼は大韓航空機爆破事件、金賢姫と李恩恵、外交問題、池田大作、田中真紀子、雅子妃、そしてJR関連など、多岐にわたるテーマに取り組みました。

特に、大韓航空機爆破事件については、北朝鮮と韓国を除く世界7か国と日本各地を旅し、実行犯である北朝鮮工作員の金賢姫と金勝一の足取りを追跡しました。その結果、1990年5月には『破壊工作-大韓航空機「爆破」事件』を出版し、金賢姫が実行犯であるという公式見解に批判的な立場を示しました。この著作は、事件の真相を多角的に考察したことで、大きな反響を呼びました。

2006年3月23日には、朝鮮総聯大阪府商工会への強制捜査に抗議する集会で、「拉致運動」が当初の目的から逸脱し、日本の核武装、戦争国家化を目的としていると主張しました。また、日朝間の問題における日本の責任を指摘し、日本人がその点を直視する必要があると訴えました。この発言は、彼の複雑な思想と立場を象徴するものとして、多くの議論を呼びました。

また、野田は2004年6月30日には、韓国で開かれた『KAL858機事件真相究明討論会』に出席しようとした際、仁川国際空港で「韓国の国益に反する者」として入国を拒否されるという経験もしています。さらに、吉田康彦が主催する「北朝鮮人道支援の会」の会員でもありました。

野田の著作活動は多岐に渡り、大韓航空機爆破事件関連では、『破壊工作-大韓航空機「爆破」事件 葬られたスパイたちの肖像』、『北朝鮮に消えた女-金賢姫と李恩恵の運命を追って』、『破壊工作-大韓航空機「爆破」事件 （増補・改訂版）』、『破壊工作-大韓航空機「爆破」事件の真相！』などを発表。

外交関連では、『周辺事態-日米「新ガイドライン」の虚実』や『闇にうごめく日本大使館-疑惑のタイ犯罪ルートを追う』といった作品を通じて、国際政治の裏側や外交の闇に迫りました。

池田大作関連では、『池田大作 金脈の研究』、『池田大作 金脈の研究 （増補新版）』、『わが池田大作バッシング-世紀末の奇怪な足音』、『「与直し」の真実-「池田大作さん」政治軌跡の検証』などを著し、宗教と政治の関係について鋭く切り込みました。

田中真紀子関連では、『「疑惑」の相続人 田中真紀子-新金脈の研究』や『新版「疑惑」の相続人 田中真紀子』を小山唯史と共著で発表し、政治家の金銭問題や権力構造にメスを入れました。

雅子妃関連では、『「プリンセス・マサコ」の真実-“検閲”された雅子妃情報の謎』を著し、皇室とメディアの関係について問題提起しました。

JR関連では、『猛き者ついに亡びぬ - 国労崩壊からJRへ』、『JR・悪の経営学』、『鉄道員物語』など、国鉄分割民営化とその後のJRのあり方について考察を深めました。

防衛関連では、『「憂国」と「腐敗」 日米防衛利権の構造』を田中稔と共著で発表し、日米同盟と防衛利権の構造に潜む問題点を指摘しました。

これらの著作を通じて、野田峯雄は社会の矛盾や権力の欺瞞を暴き出し、ジャーナリストとしての使命を果たしました。彼の作品は、現代社会が抱える様々な問題を深く理解するための貴重な資料であり、彼の死後も多くの人々に読み継がれています。

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