野間道場

野間道場

野間道場は、講談社の創業者である野間清治が設立した剣道道場です。1925年（大正14年）10月に、東京府東京市小石川区音羽（現在の文京区）に開設されました。設立者の野間清治が社員教育に剣道を奨励したことが背景にあります。

概要

道場の部材には、神田明神脇にあった道場のものが使用されたと伝えられています。野間清治自身が稽古中にアキレス腱を断裂した経験から、道場の床下にはスプリングが入れられました。これは、剣士への配慮を示すエピソードと言えるでしょう。

その後、道場は2度増築され、民間道場としては屈指の規模を誇りました。流派や派閥を超えた稽古場として広く一般に開放され、昭和天覧試合で優勝した持田盛二などが師範を務めました。その実績から「剣道の聖地」とまで呼ばれるようになったのです。

しかし、社有地の再開発のため、2007年（平成19年）に惜しまれつつも取り壊されました。その後、講談社第1別館5階に新しい野間道場が設立され、現在に至っています。

歴史

1925年（大正14年）：東京府東京市小石川区音羽に道場が竣工
1930年（昭和5年）：御大礼記念天覧試合優勝者である持田盛二が師範に就任
1934年（昭和9年）：皇太子殿下御誕生奉祝天覧試合府県選士の部で野間恒が優勝
1940年（昭和15年）：紀元二千六百年奉祝天覧試合指定選士の部で講談社師範の増田真助が優勝。府県選士の部でも講談社社員の望月正房が優勝
太平洋戦争中：戦局悪化により一時閉鎖。戦後は罹災した社員の住居として使用
1962年（昭和37年）：再び道場として社外に開放
1999年（平成11年）：映画『雨あがる』の撮影に使用
2002年（平成14年）：映画『突入せよ! あさま山荘事件』、『たそがれ清兵衛』の撮影に使用。『たそがれ清兵衛』では、野間道場世話人の箕輪勝が主演俳優の真田広之に剣術指導
2006年（平成18年）：社有地再開発のため解体が決定。反対の声が上がる
2006年（平成18年）：映画『武士の一分』の役作りのため木村拓哉が稽古に訪れる。木村も解体を惜しんだという
2006年（平成18年）：日本建築家協会が、貴重な建造物であるとして保存を要望
2007年（平成19年）：道場が取り壊され、講談社第1別館5階に新しい野間道場が設立

参考文献

原園光憲『野間道場物語』講談社

関連項目

東都四大道場
済寧館

外部リンク

講談社野間道場道好会

野間道場は、剣道界において重要な役割を果たした道場であり、その歴史は講談社の社史とも深く結びついています。新しい道場も、往時の精神を受け継ぎ、剣道の発展に貢献していくことが期待されます。

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