野風 (駆逐艦)

駆逐艦「野風」—その歴史と設計の背景

「野風」（のかぜ）は、日本海軍の駆逐艦で、峯風型の13番艦にあたる艦艇です。本艦は、艦名が「野に吹き渡る風」に由来しており、海軍における重要な役割を果たしました。「野風」以降の艦は兵装の配置を変更したため、「野風型」または「峯風改型」とも呼ばれています。

艦歴

「野風」は舞鶴海軍工廠で建造され、一等駆逐艦として横須賀鎮守府に編入されました。竣工の際には「波風」や「沼風」、「第一駆逐艦」などと共に第一駆逐隊が編成され、千島や北海道の交通保護に従事しました。1933年、昭和三陸地震が発生した際には、横須賀港にいた「野風」は、第一駆逐隊の僚艦と共に事故当日の午後に出港しました。翌朝、岩手県の盛（現在の大船渡市）に到着し、救援活動を行いました。後続の敷設鑑「厳島」が物資を運んだため、「野風」は宮城県女川へ救援物資を移送しました。

日中戦争では、1938年以降、華北や華中の沿岸作戦に参加しました。また、太平洋戦争では北方での哨戒および海上護衛作戦に従事しました。しかし、1945年2月20日には仏印カムラン湾で米潜水艦「パーゴ」による雷撃を受け沈没しました。同年4月10日に除籍されました。

野風型（峯風改型）の設計

峯風型の特徴として、艦の兵装が独特な配置にあることが挙げられます。主砲や魚雷発射管の配置が統一されていなかったため、弾薬の給弾や指揮が困難でした。そこで大正7年度計画に基づき建造された艦の中で最後になった「野風」、「波風」、「沼風」は、後檣の位置を後部に移動し、魚雷発射管を連続的に配置するよう改修されました。このため、従来の峯風型とは異なる設計となり、特に「野風型」または「峯風改型」と呼ばれるようになりました。

歴代艦長

「野風」の艦長には多くの歴戦の指揮官が就任しました。例えば、森田弥五郎中佐は最初の艦長として1922年から1923年まで指揮し、その後も多くの艦長が歴任しました。艦長として就任した人物は、米軍との接触が難しい中で緊迫した状況を指揮した経験を持つことが多かったのです。

参考文献

この艦の詳細な情報や歴史については、次の資料を参考にしています。

• - 『丸スペシャル』第51号 日本の駆逐艦Ⅱ（潮書房、1981年）
• - 伊藤大介「昭和三陸津波と軍隊」
• - 外山操『艦長たちの軍艦史』（光人社、2005年）
• - 海軍歴史保存会編『日本海軍史』（第一法規出版、1995年）

駆逐艦「野風」の歴史は、多くの艦長や海戦に関与し、時代を代表する艦艇の一つとして記憶されています。

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