釐金

釐金（りきん）について

釐金とは、清王朝末期から中華民国にかけて実施されていた地方税であり、特に物品通過税として知られています。この税は各省内の重要な交通要所や釐局で徴収され、日本では厘金税という表現も用いられています。

概要と歴史

釐金の歴史は、1851年から1864年にかけて発生した太平天国の乱にまで遡ります。清の官吏である雷以諭が設置した釐局が最初にこの税を導入しました。当時、八旗軍の衰退によって各省で徴募された臨時軍の軍事費が重くのしかかり、国家の財政は逼迫していました。このため、旧関以外の省内の交通要所に新たに釐局を設立し、物品が通過するたびに釐金税を徴収することとしたのです。地域によっては「釐金局」とも呼ばれていました。

清朝の朝廷も財源の不足に直面していたため、1853年には江蘇省に、翌年には河南省に釐局を設置することを認可しました。さらに、曽国藩が漢口に新たに釐局を設け、その後巡撫となった胡林翼が武昌にも2つ目の釐局を設置しました。このようにして、各省の巡撫が省内に釐局を設けることで、釐金税は全国に広がっていきました。

太平天国の乱が収束した1864年以降、この釐金税は廃止されることなく、恒久的な税として残り、多くの地方政府にとって重要な財源となりました。特に、各省への権力分散の流れを反映した税制度と言えるでしょう。釐金総局の管理下に配置された釐局は、分局を統括し、地域における徴収や管理を行っていました。

1911年の段階では、江蘇省において15の釐局、約200の分局が存在していたと言われています。税金の徴収や予算消化は各省で行われ、清朝への報告義務が曖昧だったことから、地域によって税率にもかなりの差異があったとされています。

また、条約港における外国商人たちは、釐金税を清朝が南京条約で関税の自主権を失った結果、課せられた輸入障壁と感じていました。そのため、税の廃止を求めて政府に圧力をかける動きも見られましたが、最終的にこの釐金が廃止されたのは1931年、中華民国時代のことでした。

まとめ

釐金は、太平天国の乱を背景に生まれた地方税であり、地方政府の重要な財源となっていました。制度の変遷や地方の税徴収方法の多様性は、時代の変化や政治的な背景を反映していると言えるでしょう。

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