金ごて

金ごて（かなごて、金鏝）は、主に左官職人が使用する金属製のこての一種です。その主な用途は、壁面や天井に土やモルタルなどを塗る作業、そして土間などにコンクリートやモルタルを均す作業です。

具体的には、材料を塗る作業だけでなく、仕上げ作業（押さえ工）においても重要な役割を果たします。ただし、使用するこての大きさや厚みは、作業内容によって異なります。

例えば、壁面や天井にモルタルや土を塗る際には、一般的に20cmから30cm程度の長さのこてが用いられます。一方、土間を均す作業には、より広い面積を効率的に作業するために、30cmから45cm程度の長さのこてが使われることが多いです。

仕上げ作業においては、こての厚みが仕上がりの美しさに大きく影響します。薄いこてを使用するほど、よりきれいに仕上がるとされています。そのため、仕上げ作業には主に0.5mm厚のこてがよく使われます。しかし、職人それぞれの好みや作業内容によって、使用するこてのサイズは必ずしも一定ではありません。

また、薄く塗る作業（しごきなど）には、角ごてが適しています。近年では、コンクリート壁面などの素地調整に適した材料が数多く開発されており、これらの材料を使用する際に金ごての需要が増加しています。

金ごての生産においては、兵庫県三木市（播州三木打刃物）が日本の生産シェアの90%以上を占めています。この地域は、古くから鍛冶の技術が発展しており、その技術が金ごての高品質な生産を支えています。

金ごての歴史を遡ると、江戸時代に西田屋勘蔵が興した西勘で修行を積んだ鍛冶職人たちが各地に散っていき、その技術が現代の名だたるブランドへと繋がっているという説もあります。

関連する道具としては、以下のようなものがあります。

こて (工具)
木ごて
* こて絵

これらの関連道具も左官作業において重要な役割を果たしています。

金ごては、左官工事において不可欠な道具であり、その種類や用途も多岐にわたります。職人の技術とともに、美しい仕上がりを実現するための重要な道具と言えるでしょう。

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