金井元彦

金井元彦の生涯と業績

金井元彦（かない もとひこ、1903年11月28日 - 1991年8月6日）は、内務官僚や政治家として日本の地方行政に大きな影響を与えた人物です。彼は、長官として行政管理庁を率いたり、参議院議員として活躍したりするなど、多くの重要な役職を歴任しました。特に兵庫県知事としての役割が注目され、この地での行政改革や様々な施策を推進しました。

初期の経歴

金井は1903年、神戸市に生まれました。彼は旧制第二神戸中学校や旧制第一高等学校を卒業した後、東京帝国大学法科に進学し、法律を学びました。1927年には内務省に入省し、警保局検閲課長を務めるなど、内務官僚としてのキャリアを積んでいきました。その後、1945年には青森県知事に就任します。

青森県知事としての試練

青森県知事に就任した金井は、太平洋戦争の激化に伴う困難に直面しました。アメリカ軍による本土空襲が増加する中、彼は市民に対し強い警告を発し、家を離れることを禁止しました。この結果、青森市では多くの市民が強制的に帰宅させられ、悲劇的な青森大空襲での犠牲者が増加しました。この時の彼の対応には、批判が集まりました。

公職追放を受けた後は民間企業で活動を行い、1948年には空襲の犠牲者を悼むための観音像の建立を提案しました。この観音像は青森市に設置され、後に拡張工事の際に新たな像が建てられました。

兵庫県知事としての功績

1955年に兵庫県知事の阪本勝の下で副知事に就任した金井は、1962年に知事選に出馬し、当選しました。在任中は日本の高度経済成長期において、地域振興を目指した多くの施策を実施しました。「生活の科学化」をスローガンに掲げ、県勢振興計画を策定したことが特徴です。

また、彼は出生前診断を推奨する「不幸な子どもの生まれない運動」を提唱しましたが、これは優生思想に基づくとして批判を受けることになります。ただし、金井は2期目での退任を決め、副知事が後継に指名されました。

政界からの引退と晩年

知事職を退任した後、金井は1971年に参議院議員選挙に出馬し、自民党公認で当選しました。彼は地方行政委員長や内閣の長官としても活躍し、1983年には政界から引退し兵庫県名誉顧問に就任しました。

晩年には兵庫大仏の再建事業に携わり、1991年に87歳でこの世を去りました。葬儀には多くの人々が参列し、彼の業績を偲びました。金井元彦の足跡は、地方行政や行政制度に大きな影響を及ぼしたと評価されています。

著作

金井は自身の体験や考えを基にした著作も残しています。

• - 欧亜の印象（1958年）
• - 南北アメリカの旅に思う 私のたより（1964年）
• - わが心の自叙伝（1983年）
• - 緩歩残筆（1986年）

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