阪本勝

阪本勝について

阪本勝（さかもと まさる、1899年10月15日 - 1975年3月22日）は、大正から昭和にかけて活動した日本の政治家、戯曲作家、美術評論家であり、衆議院議員を1期、兵庫県知事を2期務めました。彼はその多方面にわたる才能で知られ、特に地域振興や文化政策に力を入れました。

経歴

阪本は兵庫県川辺郡尼崎町（現在の尼崎市）で眼科医の家庭に生まれました。彼の家系は尼崎藩の藩医として知られ、教育を受けた環境も相まって、文化や学問に関心を持つようになりました。北野中学校や第二高等学校を経て、1922年に東京帝国大学経済学部を卒業。学生時代は新人会に参加し、仲間と共に頭角を現しました。若き日には後に有名な洋画家となる佐伯祐三と同級生でもありました。

卒業後は福島県の中学校で英語教諭や新聞記者として働きましたが、1926年には大阪毎日新聞を辞し、翌年からは関西学院大学の講師として教壇に立つことになります。この頃から彼は社会的問題にも関心を持ち、活動を広げていきました。

政治活動

1927年、労農党から兵庫県会議員選挙に出マし当選。彼は県議会で活躍する傍ら、社民系の団体に参加し、プロレタリア文学や唯物史観についての評論を発表しました。しかし、選挙違反の疑いを受けて失格となり、以後は実家の病院経営や作家活動に専念します。

1940年には文化部長として大日本産業報国会に招聘され、続いて1942年の翼賛選挙で衆議院議員に当選しました。この時期にはファシズム的要素を取り入れた著作も残しています。

尼崎市長と兵庫県知事

戦後は神戸市から民生局長に任命されましたが、1946年には公職追放を受けます。追放解除後、1951年に日本社会党公認で尼崎市長選に挑戦し、見事当選を果たしました。市長としての彼は、市民の声を大切にし、開放的な姿勢で市政を進めました。具体的には尼崎港沖の防潮堤建設や新たな保険制度の導入、さらには公園などの設計を手掛けました。

1954年には兵庫県知事選挙にも出馬し、圧倒的に支持を受けて当選。彼の知事としての政策は、地域格差の是正に焦点を当てたもので、内陸部や北部の振興に尽力しました。再選後には「県営ギャンブル全廃」を掲げ、神戸と明石の競輪場を廃止するなど、県民の健康促進にも取り組みました。

1962年には知事職から退きますが、その後も政治活動を続けました。1963年の東京都知事選に革新候補として出馬しましたが、敗北しました。

晩年と著作

1970年には兵庫県立近代美術館の初代館長となり、文化事業に注力しました。1975年、食道癌により芦屋市の自宅で亡くなり、県民葬が行われました。阪本の著作には、戯曲や評論があり、戦後の文学に貢献しました。彼の生命は多岐にわたる分野での活動に満ちており、特に地域振興と文化政策において多くの足跡を残しました。

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