金介屎

金介屎（キム・ゲシ）：権力に翻弄された朝鮮王朝の官女

金介屎（キム・ゲシ、生年不詳 - 1623年）は、朝鮮王朝時代中期に実在した官女です。彼女の生涯は謎に包まれており、出自は一切不明です。名前の「介屎」は、朝鮮語で「犬の糞」を意味する「ケトン」を漢語風にしたもので、非常に屈辱的な名前です。しかし、彼女は権力の中枢にまで上り詰め、その生涯は波乱に満ちたものでした。

生涯

野史によると、金介屎は1600年前後に宮廷に入り、女官として働き始めたとされています。そこで、当時世子（セジャ）であった光海君に見出され、彼の側近として仕えることになりました。その後、彼女は光海君の父である宣祖（ソンジョ）の目に留まり、寵愛を受け、特別尚宮（トクピョルサングン）に取り立てられました。これにより、「金尚宮」と呼ばれるようになります。この頃から、彼女は光海君を王位に就けるべく、権力闘争に深く関与していきます。

金介屎は、光海君を支持する勢力と連携し、反対勢力を徹底的に排除しました。そして、光海君が王位を継承した後も、その権勢は衰えることなく、政治に深く関与し続けます。彼女は、宣祖の唯一の嫡子であった永昌大君（ヨンチャンデグン）を死に追いやり、その母である仁穆王后（インモクワンフ）を失脚させ、幽閉するという残虐な行為にも手を染めました。彼女の権勢は、宮廷内で絶対的なものとなったのです。

しかし、その権力は長くは続きませんでした。1623年、仁祖反正（インジョバンジョン）が勃発し、光海君は王位を追われ、廃位されてしまいます。金介屎もまた、かつての権力者たちと共に捕らえられ、処刑されました。彼女の人生は、権力を手にしたことで、最終的に悲劇的な結末を迎えたのです。

金介屎が登場する作品

金介屎は、その波乱万丈な生涯から、様々なドラマや映画で取り上げられています。彼女を演じた女優は以下の通りです。

テレビドラマ
暴君 光海君（1986年、MBC、配役：ウォン・ミギョン）
宮廷女官キム尚宮（1995年、KBS、配役：イ・ヨンエ（子役：イ・ジョンフ））
ホ・ギュン 朝鮮王朝を揺るがした男（2000年、KBS、配役：イ・ジュファ）
王の女（2003年、SBS、配役：パク・ソニョン）
王の顔（2014年、KBS2、配役：チョ・ユニ ※ 役名は「キム・カヒ」）
華政（2015年、MBC、配役：キム・ヨジン）
王になった男（2019年、tvN、配役：ミン・ジア）
* ポッサム〜愛と運命を盗んだ男〜（2021年、MBN、配役: ソン・ソンミ）

これらの作品では、金介屎がどのように描かれているか、見比べてみるのも面白いでしょう。

まとめ

金介屎は、朝鮮王朝の歴史において、その悪名と共に語られる人物です。彼女の出自や生涯には不明な点も多いですが、その権勢と最期は、多くの人々に強い印象を与えました。彼女の人生は、権力に翻弄された人間の悲劇を象徴していると言えるでしょう。

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