金佐鎮

金佐鎮（キム・ジャジン）：独立運動に生涯を捧げた将軍

金佐鎮（キム・ジャジン、1889年 - 1930年）は、朝鮮の独立運動家であり、字は明汝、号は白冶。大倧教徒でもありました。日本統治下の朝鮮において、独立運動にその身を捧げた彼の生涯は、激動の時代を映し出す鏡とも言えるでしょう。

生涯

忠清道洪城郡葛山面で生まれた金佐鎮は、幼くして父を亡くし、金徳圭によって育てられました。大韓帝国陸軍武官学校を卒業後、愛国啓蒙運動を支援。1910年の韓国併合後は、独立運動に身を投じ、義兵活動の資金調達を図ります。

満州に逃亡後は、徐一らとともに北路軍政署を組織し、独立軍の一派を率いて1920年の青山里戦闘で日本軍と激戦を繰り広げました。その後、他の独立軍勢力と合併し大韓独立軍団を形成しますが、自由市惨変を経て満州に戻ります。

1925年には新民府を創建し、軍事委員長兼司令として独立軍養成に尽力。城東士官学校を設立し、後進の育成にも力を注ぎました。しかし、民族主義系と共産主義系の対立が激化する中で、1930年、高麗共産青年会に所属していた元部下によって暗殺されました。

青山里戦闘とその後

青山里戦闘は、金佐鎮の名を不朽のものとしました。しかし、その実態については様々な議論があり、誇張された部分もあると指摘されています。また、独立軍の活動資金を調達するために、沿海州の農民から略奪を繰り返していたという指摘もあり、評価は一様ではありません。

暗殺の真相

金佐鎮の暗殺については、いまだに多くの謎が残されています。朝鮮共産党（旧上海派）の在満下部組織「赤旗団」の関与や、女性プロレタリア作家の姜敬愛と関係があった青年会員の関与など、様々な説が唱えられていますが、明確な証拠は確認されていません。また、新民府の略奪行為に対する報復という見方もあり、議論の余地が大きいのが現状です。

評価と遺産

1962年、金佐鎮は建国勲章大韓民国章を叙勲されました。韓国では独立有功者、「青山里大捷」を導いた将軍として高く評価されています。しかし、共産主義者によって暗殺されたという経緯から、戦後の反共政策下では、北朝鮮や中国での評価は低いものでした。

近年、独立運動勢力の研究が進み、金佐鎮の暗殺の背景や、彼に対する評価も変化しつつあります。沿海州の農民からの略奪行為など、負の側面も明らかになり、多角的な視点からの評価が求められています。

親族

金佐鎮には多くの子孫がおり、中でも息子の金斗漢とその娘の金乙東はともに国会議員となり、韓国社会に大きな影響を与えました。また、曾孫のソン・イルグクは俳優として活躍し、その子供たちも人気を集めています。しかし、金斗漢が本当に金佐鎮の息子だったのかについては、議論が続いています。

まとめ

金佐鎮は、激動の時代を生きた独立運動家であり、その生涯は光と影の両面を持っています。青山里戦闘での英雄的な活躍は広く知られていますが、その一方で、農民からの略奪や暗殺の真相など、未解明な部分も多く残されています。彼の功績と過ちを総合的に評価し、歴史の教訓として後世に伝えていくことが、私たちに課せられた課題と言えるでしょう。

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