金出武雄

金出武雄の業績と人柄

金出武雄（かなでたけお）は1945年10月24日生まれの、日本を代表する計算機科学者です。専門は主にコンピュータビジョン及びロボット工学であり、彼の研究成果は革新的な技術の基盤となっています。京都大学で工学博士の学位を取得し、その後は多くの教育機関や研究機関で重要な役割を果たしてきました。最初に注目されるのは、顔写真解析や動画像の特徴点追跡手法の確立です。特に、3次元画像を復元するための折り紙理論を提案し、これらは後に実速技術として応用されました。さらに、仮想化現実という概念を提唱し、アメリカ大陸横断自動走行車の実現に成功し、スーパーボウルでもその技術が導入されました。

学歴と初期の経歴

金出は兵庫県で生まれ、兵庫県立兵庫高等学校を卒業後に1964年に京都大学工学部電子工学科に入学しました。在学中、彼は音声タイプライターの研究を行った坂井利之教授との出逢いを通じて研究の面白さに目覚めました。1970年に大学院を修了すると、その後、助手として京都大学に所属し、1974年に工学博士の学位を取得しました。

カーネギーメロン大学での研究

その後、金出はカーネギーメロン大学に赴き、ロボティクス研究所で研究を続けました。1985年には同大学の教授に昇進し、ロボティクスや画像処理に関する数々のプロジェクトに携わりました。特に、自動運転車「NavLab5」の開発に関与し、ハンドルを手放してアメリカ大陸を横断するという画期的な成果をあげました。1996年にはロボット工学の業績に対してエンゲルバーガー賞を受賞しています。

金出は、ロボット工学だけでなく、生活の質に関する工学研究にも取り組み、2006年にはカーネギーメロン大学に生活の質工学センターを設立しました。

多岐にわたる役職と名誉

金出は多くの教育機関での教員職を務め、また、産業技術総合研究所ではデジタルヒューマン研究センターのセンター長も務めました。2014年からは大阪大学産業科学研究所の特任教授、奈良先端科学技術大学院大学の客員[[教授]]として活動しています。名誉フェローという称号も持ち、2019年には文化功労者として認定されるなど、多数の栄誉を受けています。

研究哲学とスタイル

金出の研究に対する姿勢は、「素人発想、玄人実行」というフレーズに象徴されるように、独自の視点や考え方を大切にしながら技術を実現することを重視しています。この理念は、彼の研究スタイルを反映していて、専門家としての精緻さを持ちながらも、自由な発想を取り入れることで新たなイノベーションを生み出してきました。

金出は、研究室メンバーとのコミュニケーションを重視し、定期的に個別のミーティングを開催することで学生の成長を促しています。また、研究においては「競争しながら共創する」ことを重要視し、他者と切磋琢磨する姿勢を持っています。

主な業績

彼の業績は多岐にわたり、具体的な研究成果としては、万国博覧会における顔写真データベースの画像認識や、Lucas-Kanade法等の動画像解析手法、3次元高速計測レンジファインダー、さらにスーパーボウルでのEye Vision技術などがあります。これらの業績は、彼がロボット工学や計算機ビジョンの分野に広く影響を与えた証とも言えるでしょう。

金出武雄の研究は、技術の枠を超えて生活や社会に寄与することを目指しており、今後のさらなる発展が期待されています。

もう一度検索