金剛右京

金剛右京についての詳細

金剛右京（こんごう うきょう）は、1872年10月21日に東京・麻布飯倉で生まれた著名な能楽師です。彼は金剛流の宗家であり、その抵抗によりその地位を若いうちから引き継ぐこととなりました。彼の幼名は鈴之助、後の名は氏慧（うじやす）です。父親は二十二世金剛泰一郎兵衛氏善であり、彼自身が家族における能楽の伝承を担う重要な役割を果たしていました。

金剛右京は彼の祖父である金剛唯一が明治17年（1884年）に亡くなると、家族の悲劇によって早くもその重責を担うことになります。そうした背景も影響し、父親も精神的な問題を抱えた結果、20歳でこの世を去りました。これにより、若干の年齢で金剛流の宗家となる運命を辿ります。

明治25年（1892年）、彼は京都にて金剛謹之輔から師事し、独自のスタイルを磨いていきました。彼は流派を再興させようとする計画を立て、明治37年（1904年）には東京に帰還しました。しかし、運命は彼に対して辛辣で、多くの逆境が彼を待ち受けていました。それでも、金剛右京はその芸術に対して揺るぎない情熱を持ち続け、彼の芸風は「大胆華麗」と称されるほどのものとなりました。特に、金剛流ならではの独特な離れ技に熟練していたことで知られています。

また、彼には子供がいなかったため、1935年（昭和10年）には家伝の面を三井家に譲媚しました。この動きは流派の存続に大きな意義を持ちましたが、同時に彼の遺言によって流派の断絶を示唆するものでした。三井家に譲渡された面は現在、三井記念美術館において重要文化財として大切に保管されています。

金剛右京は、1936年（昭和11年）3月27日に静岡県沼津市で脳溢血と狭心症を発症し、その後に他界しました。彼の荼毘は沼津で行われ、その後の告別式は奈良の阿弥陀寺で執り行われました。彼の死は能楽界にとって非常に大きな喪失であり、金剛流の発展に寄与した人物として今でも語り継がれています。彼の芸術的な遺産や流派への影響は、今後も多くの人々に評価され続けることでしょう。

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