金君玉英雄艦

金君玉英雄艦（SSB-841）

金君玉英雄艦は、北朝鮮人民軍海軍に所属する通常動力型潜水艦であり、その艦番号はSSB-841です。この艦は、同海軍によって「戦術核攻撃潜水艦」として位置付けられています。あまり報じられることはありませんが、金君玉英雄艦は北朝鮮海軍の兵力強化を目的とした重要な艦船の一つと考えられています。

設計と改装

この潜水艦は、既存のロメオ型潜水艦を大規模に改装したものと考えられています。改装による主な変更点は以下の通りです：
1. 艦橋後部の増設: 艦橋の後部に膨らんだ部分が増設され、そこには10基の垂直発射システム（VLS）が搭載されています。これにより、より多様な攻撃能力が付与されています。
2. シュノーケールの設置: ステルス性を考慮し、シュノーケールが装備されています。これにより、浮上してエンジンを稼働させる際の探知リスクが軽減されます。
3. 艦首形状の変更: 艦首が球状に改良され、これもまた水中での航行性能の向上を狙ったものとされています。
4. 潜舵の位置変更: 艦首にあった潜舵が撤去され、艦橋部に新たに設置される形となりました。これにより、船体の流体力学的特性が改善されています。

一方で、艦尾の形状など、ロメオ型と同様の特徴を持っている点も多く、全体としては既存の設計を踏襲しつつ進化を遂げた印象を与えます。

艦歴

金君玉英雄艦は2023年9月6日に進水し、わずか2日後の9月8日に艦名が公式に発表されました。艦の配属先は東海艦隊と考えられています。

艦名の由来は、朝鮮戦争中の1950年7月2日に発生した注文津港海戦に遡ります。この戦闘では、金君玉が指揮する魚雷艇第21号がアメリカ海軍の重巡洋艦「ボルチモア」を撃沈したという伝説が語られています。しかし、実際にはボルチモアは朝鮮戦争には参加しておらず、他のアメリカ海軍艦艇に類似の損害も確認されていません。このため「ボルチモア撃沈」の話は誤認や捏造とされています。

2024年8月には、北朝鮮の潜水艦が国際海事機関（IMO）に登録され、ここには新浦C級潜水艦や金君玉英雄艦も含まれました。この登録は、その戦力が国際的に認識される一歩であり、北朝鮮の海軍力強化を象徴しています。

関連項目

• - 潜水艦
• - ロメオ型潜水艦

金君玉英雄艦は、特に近年の地政学的緊張の中で、その存在意義を増していくことでしょう。

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