金城安太郎

金城 安太郎の生涯と業績

概要

金城安太郎（きんじょう やすたろう、1911年12月10日 - 1999年1月1日）は、昭和初期から沖縄で活動した日本画家であり、特に沖縄が米国の統治下にあった時代に新聞や雑誌の挿絵をで広く知られるようになりました。彼は「沖縄最初の挿絵画家」と称され、沖縄の文化に大いに影響を与えました。

生い立ちと教育

金城は那覇区の住吉町で生まれ、幼少期から絵画に関心を持っていました。彼は画家としての基盤を築くために、山田真山に弟子入りし、日本画と彫刻を学びました。16歳の頃（1927年頃）には、新聞連載小説の挿絵に関わり始めたと言われていますが、戦前の資料が乏しく、具体的な活動状況は不明な部分が多いのが現状です。

挿絵画家としての活動の始まり

1933年に山里永吉の著書『熱帯魚』の挿絵を手がけ、ここから金城の本格的な挿絵画家としての活動が始まりました。その後、1940年に創刊された雑誌『月刊 文化沖縄』にもスタッフとして参加し、沖縄の文化を発信する場に関与しました。

沖縄戦とその後の復興

第二次世界大戦の際、金城は防衛隊に徴兵され、戦場で米軍の捕虜となりましたが、その後、画家としての能力が評価され、営倉からの外出が許されました。これにより、彼は戦後沖縄の文化を支える一端を担うことになります。沖縄諮詢会の文化芸術課技官としても活動し、東恩納美術村を経て、首里儀保に設けられたニシムイ美術村にも参加しました。ここでの活動は、沖縄美術の復興に大きく寄与しました。

新聞挿絵の黄金時代

1951年から1961年にかけて、『琉球新報』や『沖縄タイムス』の新聞連載小説に挿絵を提供し、合わせて18本の作品を手がけました。この時期には、数多くの作品が発表され、確認されているだけで4,369点の挿絵が残されています。中でも、1,765点の原画が現在も伝えられています。当時の金城の作品は、沖縄における文化的な価値を高める要因となりました。

後期の活動と評価

その後は、雑誌等の挿絵は手がけましたが、新聞連載小説の挿絵は担当しなくなりました。1984年には、43年ぶりの個展が開催され、美人画などが再び注目されました。日本画、挿絵だけでなく版画や工芸、舞台美術など多岐にわたる分野で活躍し続けた金城安太郎は、沖縄の美術界において重要な存在として評価されています。

結言

金城安太郎の業績は、沖縄の文化と美術の発展に大きな影響を与えました。彼の挿絵は、沖縄の歴史や風土を深く反映した作品として、今も多くの人々に愛され続けています。その独自のスタイルと情熱は、後の世代に勇気と希望を与えるものとなっています。

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