金属熱処理技能士

金属熱処理技能士とは

金属熱処理技能士は、日本で規定された国家資格です。この資格は、金属熱処理に関する専門的な知識と技術を証明するもので、都道府県職業能力開発協会によって実施される技能検定制度の一部です。試験に合格した者は、その能力を評価されることになります。これは、名称独占資格として位置づけられており、他者が無断で使用することが禁じられています。

資格の種類と等級

金属熱処理技能士には、特級、1級、2級の三つの等級があります。特級は、管理者や監督者に求められる技能のレベルを示しており、高度な職務を遂行するための基準となります。一方、1級と2級はそれぞれ上級技術者と中級技術者の能力に見合った技能を求められます。このように、金属熱処理技能士の資格は、熟練度や職務に応じた適切な技術を持つことを強調しています。

技能検定試験の内容

技能検定試験は、次の3つの分野に分かれて実施されます。
1. 一般熱処理作業
2. 浸炭・浸炭窒化・窒化処理作業
3. 高周波・炎熱処理作業

一般熱処理作業試験 (1級)

• - 要素試験：火花試験、顕微鏡による組織判定、組織写真による熱処理条件判定、変形測定、脱炭層深さ測定を行い、約50分の時間が設定されています。
• - ペーパーテスト：作業条件の設定や段取り、設備の点検・調整などについても確認され、試験時間は50分です。

一般熱処理作業試験 (2級)

• - 要素試験：火花試験、写真による組織判定、加熱温度判定、変形測定、硬さ試験を行い、約40分の試験時間が設けられています。
• - ペーパーテスト：作業条件の設定、段取り、設備の確認などが問われ、試験時間は50分です。

浸炭・浸炭窒化・窒化処理作業試験 (1級と2級)

この分野の試験内容は、一般熱処理作業と似ていますが、浸炭に関連する特有の要素が加わります。1級では顕微鏡を使用した詳細な判定が求められ、2級では写真や温度の測定が行われます。

高周波・炎熱処理作業試験 (1級と2級)

こちらも同様に、1級はより高度な技術と知識が求められ、2級では基本的なスキルを把握していることが評価されます。

資格取得後の扱い

技能検定に合格すると、受験者には合格した等級に応じた技能士の称号が付与されます。この際、名刺や各種文書に資格を記載する場合は、等級を必ず記載する必要があります。例えば、「1級金属熱処理技能士」や「2級金属熱処理技能士」といった具合です。等級を示さない表記や不適切な表示は禁じられています。また、職業能力開発促進法により、金属熱処理技能士の資格を有していない者がこの名称を使用することは法律的に禁止されています。

このように、金属熱処理技能士は高度な技術を必要とする職種であり、その資格は熱処理業界内での能力や信頼性を示す重要な役割を果たしています。

もう一度検索