金廠溝事件

金廠溝事件

金廠溝事件は、1936年1月29日から2月1日にかけて、ソビエト連邦と満州国の国境近くで発生した一連の軍事衝突である。この事件は、満州国軍内の反乱に端を発し、日ソ間の小規模な武力衝突へと発展した。

事件の経過

1936年の1月29日、満州国の密山県にある金廠溝で、当地を守備する満州国軍の国境監視隊において組織的な脱走が発生した。士官に指揮された兵士108人が、日本人幹部である日系軍官3人を襲撃し、その後、兵舎に火を放ちソ連領に逃走した。

この反乱の知らせを受けて、翌1月30日、日本陸軍第3師団の一部と満州国軍が脱走兵の追跡を開始したところ、金廠溝の南方875高地付近にて突然の射撃に見舞われた。日本側の資料によると、日満軍は応戦し、双方に相当な死傷者が出た。具体的には、日本側で戦死者9名、負傷者7名が確認された。また、ソ連兵の死体1体も発見されたことで、ソ連の軍隊が関与しているとの見解が示された。

一時的に戦闘は収束したものの、2月1日には日本軍の部隊と7〜8名のソ連兵との間で再び銃撃戦が発生した。日本側はこの事態に対処するため、満州国軍を500人増派し、警戒態勢を強化したが、さらなる戦斗は発生しなかった。

日本の外務省が2月下旬に現地の情報を収集した結果、最初の戦闘が起きた地点はソ連領内に150メートルほど入り込んでいたことが判明した。この原因は、現地の日満軍部隊が用いていた地図が不正確だったためであった。

外交交渉

事件発生直後の1946年1月30日、ソ連政府は日本の太田駐ソ大使に対し、日本軍の越境発砲を理由に抗議し、責任者の処罰を求めた。これに対し、日本側は2月2日に満州国の外交部名でソ連側に反論を行い、ソ連兵の不法発砲について抗議し、脱走兵の引き渡しを求めた。さらに、日本側はこの脱走事件がソ連側の扇動によるものだと主張して非難を行った。

その後、日ソ間の外交交渉が行われた結果、共通の調査を行うための合同委員会設置が合意された。しかし、同年3月25日には長嶺子事件が、4月9日には綏芬河東方事件が発生したことから、合同委員会の設置は実現しなかった。

まとめ

金廠溝事件は日ソ間の緊張を高める一因となり、また、満州国軍内の士気や指導体制にも重く影響を与えた。この事件は、国際関係の複雑さや歴史的背景を理解する上でも重要な事例の一つであり、後の争乱や外交問題にも繋がっていくこととなる。

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