金日成花

金日成花について

金日成花（キム・イルソンばな）は、インドネシアのボゴール植物園で育成されたファレノプシス系デンドロビウムの交配種です。この植物は、長い間にわたり愛され続けており、特に北朝鮮において重要な象徴とされています。金日成は北朝鮮の初代指導者であり、この花は彼の名前を冠した特別な意味を持っています。

植物の特徴

金日成花は多年生の着生ランで、高温多湿を好みます。他のファレノプシス系デンドロビウムと同様に、耐寒性はありません。花は70-80mmの大きさで、濃赤紫色の花弁に明瞭な三つの白斑が見られます。その美しさは特に際立っており、約100日間咲き続けるため、長い期間にわたって楽しむことができます。

歴史的背景

この花の名は1965年、インドネシアのジャカルタで開催されたバンドン会議にて、当時北朝鮮の指導者だった金日成がボゴール植物園を訪れた際に由来しています。スカルノ大統領が金日成を敬い、献名を申し出ることになります。金日成は一度は辞退を考えましたが、スカルノの執拗な勧めによりこの名を受け入れました。

1970年には英国王立園芸協会（RHS）において正式に交配種名として登録され、Dendrobium Kim Il Sungとして広まりました。興味深いことに、この花は当初は平壌へ持ち帰られませんでした。栽培技術が未完成だったためです。しかし、その約10年後の1974年になって、北朝鮮での栽培が始まりました。

現在の状況

金日成花は北朝鮮に持ち込まれた後、政治的なプロパガンダの一環として利用されています。金正日が「金日成花は、自主時代の人類の心に咲いた不滅の花である」と述べるなど、その存在は今も国家のイデオロギーと密接に結びついています。この花は、北朝鮮全土で見ることができ、特に平壌や白頭山地区に多く咲いています。

冬には氷点下になる北朝鮮の気候下で、その栽培を可能にするために300以上の金日成花温室が建設されています。毎年4月15日の金日成の誕生日にあたる太陽節には、金日成花祭典が開催され、国内外から多くの人々が集まります。この期間に平壌を訪れると、金日成花の美しい姿を見ることができるでしょう。

他の園芸品種との関連

金日成花のほかにも、北朝鮮には金正日花という球根ベゴニアの園芸品種があります。これらはともに北朝鮮では自然に分布せず、国花に指定されることはありませんが、国家の重要なシンボルとされています。たとえば、2009年に発行された新1ウォン硬貨には金日成花がデザインされています。

まとめ

金日成花は、単なる植物以上の存在です。北朝鮮の歴史、政治、文化を色濃く反映したシンボルであり、その美しさは多くの人々に愛され続けています。近年、これに関連した園芸品種が増え、国際的な関心も高まっていますが、金日成花自体は依然として特別な地位を占めています。

海外においても関与のある場所や個人によって栽培が行われていますが、一般的には北朝鮮を象徴する植物として認識されています。

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