金昌寺

金昌寺（きんしょうじ）

金昌寺は、埼玉県秩父市に位置する曹洞宗の寺院で、山号は高谷山と呼ばれています。この寺は秩父札所の第四番としても知られており、歴史的な価値があるため、秩父市によって史跡に指定されています。

本尊とご詠歌

寺の本尊は「おん まか きゃろにきゃ そわか」という真言が唱えられ、多くの参拝者の心の拠り所となっています。また、寺院のご詠歌は「アラタカに参りて拝む観世音　二世安楽と誰も祈らん」となっており、人々の安らぎを願っています。

寺の歴史

金昌寺の由来は、時代を遡ると『観音霊験記』に記されています。そこによれば、かつてこの地には荒木丹下という男性が悪行を重ね、周囲に忌み嫌われていました。ある日、巡礼の娘が食べ物を求めて訪れましたが、丹下は彼女を打ちのめしてしまいます。しかし、実はその娘は仏の化身であり、彼女の力によって丹下は改心します。最終的に彼は仏道に帰依し、観音堂を建立しました。このことから、この寺は荒木寺または新木寺とも呼ばれるようになり、元々は高篠の山中にあったとされていますが、後に荒木（山田）に移されたといわれています。

境内の魅力

境内には「秩父札所四番石仏群」があります。これは埼玉県指定の有形民俗文化財であり、1704年から1711年の宝永年間以降に奉納された1300余体の石仏群があります。この中には245体の羅漢、58体の如来、そして393体の菩薩が含まれています。これらの仏像は、天明（1781-1789年）、寛政（1789-1801年）、享和（1801-1804年）頃に造られたものが多く、奉納者は武蔵や江戸、上州、相州、さらには北陸、山陰、山陽からも訪れたことが示されています。このため、全国的な信仰圏を反映した貴重な文化資産です。

特に注目されるのが「子育て観音像」です。これは寄進者の吉野屋半左衛門が浮世絵師に依頼して、この仏像を建立し供養したもので、彼は当寺の本尊の霊験によって子を授かったものの、その後妻子と相次いで失い、生前の母子の姿を描かせたものです。この像は本堂外陣に安置されています。さらに、境内には荒舩清十郎の墓も存在し、多くの人々に親しまれています。

交通アクセス

金昌寺へは、アクセスも便利です。西武秩父駅または秩父駅から西武観光バス「定峰・皆野駅ゆき」に乗り、「金昌寺」停留所で下車し、そこから徒歩5分です。また、三番札所常泉寺からも徒歩20分の距離に位置しています。

まとめ

金昌寺は、その歴史的背景や文化財の数々が魅力の寺院です。訪れることで、静かな空間で心を落ち着け、古くからの信仰を肌で感じることができるスポットです。

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