金春禅竹

金春禅竹の生涯と業績

金春 禅竹（こんぱる ぜんちく）は、室町時代に活躍した猿楽師であり、能の作家としても広く認識されています。彼は応永12年（1405年）に生まれ、文明2年（1470年）まで生きたとされており、金春弥三郎の子として知られています。名は金春七郎、俗名として竹田氏信または貫氏があり、法名は賢翁禅竹です。金春大夫として奈良を中心に活動し、金春流の中興の祖とも言われています。

来歴

金春禅竹は、猿楽の流派である円満井座の流れを受け継いでいます。金春一座を率いて多くの舞台をこなし、特に世阿弥の娘婿であることから、その存在は一層特別なものとなっています。彼は義父の世阿弥と非常に深い関係にあり、世阿弥が提唱した能についての理論書、『六義』や『拾玉得花』の教えを受け継ぎました。これらは応永35年（1428年）と正長元年に伝えられたと言われています。彼はまた、晩年の世阿弥を見届けたともされ、二人の関係は非常に重要でした。

金春禅竹は、連歌や和歌、さらに仏教や神道に精通しており、これに基づいた能楽の理論化を試みました。その結果、彼は多くの著作を残し、その多くは難解で神秘的な傾向を持つと評価されています。また、一休宗純や一条兼良との交流もあり、彼の作品はしばしば幽玄で深い内容を含んでいます。彼の能楽作品は、庶民向けから貴族や上流武士による鑑賞へと変化していく時代の影響を色濃く反映していると言えるでしょう。

作品

金春禅竹は多くの理論書や能楽作品を著しています。彼の著作においては以下のようなものがあります。

理論書

• - 六輪一露之記
• - 歌舞髄脳記
• - 五音三曲集
• - 明宿集
• - 至道要抄

能楽作品

• - 野宮
• - 芭蕉
• - 定家
• - 玉鬘
• - 雨月
• - 三輪 - 金春禅竹による作品ではないかとの推測があります。
• - 谷行 - こちらも金春禅竹の作品ではないかと考えられています。
• - 松虫

刊行本

彼の著作に関する資料も多く存在します。

• - 国文学研究資料館編『金春禅竹自筆能楽伝書』汲古書院、1997年
• - 表章ほか校注『世阿弥・禅竹』日本思想大系・岩波書店、新版1995年
• - 表章、伊藤正義校注『金春古伝書集成』わんや書店、1969年
• - 根岸鎮衛『耳嚢』全3冊（長谷川強校注、岩波書店〈岩波文庫〉、1991年） - 江戸時代の随筆で、金春太夫に関する逸話を収録しています。

このように、金春禅竹は日本の能楽において重要な役割を果たした人物であり、彼の業績は今もなお多くの人々に評価されています。

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