金曜夜席

金曜夜席（きんようよるせき）

『金曜夜席』は、日本テレビで1965年3月12日から1966年4月22日まで放送された寄席風の演芸番組です。この番組は毎月第2と第4金曜日の22時30分から放送され、当初はモノクロの映像だったものの、1965年11月からはカラー放送に移行しました。

この番組の背景には、テレビとラジオの普及によって寄席が閑散としてしまう事態を憂慮した7代目立川談志のアイデアがあります。談志は「落語家はテレビにも出るべきだ」と考え、コマーシャルが入りづらい落語のスタイルを活かしつつ、大喜利を行うことを提案しました。日本プロレス中継のブランクを埋めるために小里光プロデューサーに企画が持ち込まれ、これが『金曜夜席』のスタートにつながったのです。

最初の頃の『金曜夜席』は、視聴者から好評を集め、特にブラックユーモアが豊富な内容が特徴でした。収録は、有楽町にあった読売ホールで行われ、1回の収録で2本の番組が撮影される方式は後の『笑点』も同様でした。番組名は「金𫞂夜席」と書かれ、「曜」には略字の「𫞂」が使われていましたが、テレビ欄などでは「曜」と表記されることもありました。

『金曜夜席』から『笑点』の誕生も見逃せません。日曜日夕方にスポンサーが欲しいという要求があった結果、深夜の人気番組『金曜夜席』が発展し、『笑点』として新たにスタートしました。この際、柳家きん平の自殺という悲劇的な出来事があり、結果として三遊亭金遊（後の4代目三遊亭小圓遊）が『笑点』に参加することになりました。

放送時間について
『金曜夜席』の放送時間は第2・第4金曜日の22時30分から23時15分でした。ただし、プロ野球の録画中継が放送されることもあり、番組が休止することもありました。

出演者の構成
7代目立川談志と5代目三遊亭圓楽は真打で、その他の落語家は二つ目として出演していました。番組の最終回時点では、一部の出演者が降板していたことも確認されています。

最初の放送から最終回にかけての番組構成は「演芸」、「インタビュー」、「大喜利」の3部構成が特徴であり、これも後の『笑点』に直接引き継がれています。演芸ではゲストが芸を披露し、談志がインタビューを行うコーナーもありました。特に大喜利のコーナーでは出演者たちによる創造的なやり取りが人気を集めました。

舞台装置は、昔ながらの寄席の高座を模してデザインされており、後の『笑点』と類似した作りでした。ただし、当時は舞台上の額に「金𫞂夜席」と記されていました。

エピソードと背景
『金曜夜席』の大喜利の司会はもともと圓楽が担当していましたが、自らの司会ぶりに不満を感じて降板。以後、談志が全コーナーの司会を担当することに。番組中に座布団をやり取りするルールが導入され、これが後の大喜利のスタイルに影響を与えることになりました。このルールは、江戸時代の牢名主が畳を清める仕草に着想を得たとも言われています。

『金曜夜席』は1966年4月22日に最終回を迎え、続けて『笑点』が始まりました。この流れから、後の日本の演芸界における重要な番組が誕生することになったのです。このように『金曜夜席』は、日本のテレビ演芸の歴史において特別な位置を占めている番組です。

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